一期一会
 職場の上司であった先輩が亡くなって今年で10年の月日が経ちました。9年前の12月下旬、「明日から3日ほど検査入院するからな。」と言われ、そのまま半年後に50歳の生涯を終えられました。末期の膵臓ガンでした。先輩本人の希望により医師より告知を受けました。末期ガンと闘うそれは凄まじい闘病生活をおくられました。自宅に見舞いに行ったとき、寿司の出前をとって頂き、話すことといえば「お前一級の試験受かったか。頼まれた土地買い手がありそうか。」など人のことばかりを心配しておられました。
 最期の時、私の手を握って「あとをたのむ。」声には出ませんでしたが、言いたいことは分かりました。  
 その先輩は、19歳で入社した私に仕事を教えて下さっただけでなく、社会人としての自覚や、責任を一から教えて下さいました。言葉使い、お客さまに対しての礼儀、接客方法、クレーム処理まで身をもって細かくです。  さて、悲しむのも束の間、亡くなるまでの半年間は、取引先に事情を説明し何とか凌ぎましたが、いよいよ私が後任なり、特に先輩が担当の役所は私が民間の専門だったので、ほとんど行った事も無く、現説?入札?契約?何ですかそれ???こんな状態でした。そんな事も知らない私にすべて教えて頂いたのが内山緑地建設鰍フ大神支店長でした。今でも仕事で分からない事があった時はご教授頂いています。
 人の価値観は、子供の時は両親や学校の先生、社会人になれば先輩やお付き合いするいろいろな方々から学ぶものだと思います。この仕事をしていると、いろいろな人との出会いそして別れがあります。人との出会いがあった時、この人との縁はこれが最初で最後かも知れない。一生懸命お話を聞き、誠心誠意対応しなければなりません。先輩は亡くなってしまいましたが、心の中では生涯の恩師です。大神支店長はこれからも教えを請う大切な方です。
 これから先も出会ったことの喜びや、偶然のえにしを今以上に大切にしたいと思います。


後藤 浩文
 <福岡スプリットン工業株式会社 環境事業部>
(08/08/01掲載)
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