春到来です。
3月は暖かくなったかと思えば急に冷え込んだりします、「桜」は早いものは散り始めてますが、遅いものは今が満開でしょうか。
花壇も「花盛り」になってきました。3月に入ると急に大きくなり、4月に入ると溢れんばかりに咲き乱れてきます。
でも、早い所では今月半ばに初夏の花に入れ替わります。やっと、落ち着いて「咲き乱れる姿を観賞しようか」って時期には気温も上がり、気分が「初夏」モードになるためか植替えが始ります。
春って一瞬なのですね。
今回は「スイセン」をご紹介しましょう。あちらこちらの庭先、花壇やコンテナと賑やかにしてくれる植物です。
スイセン(学名:Narcissus tazatta)ヒガンバナ科・スイセン属・球根植物。
原産地は主にスペイン、ポルトガルから地中海沿岸地域で原種は30種類ほど知られています。また、園芸種も多く栽培されています。
日本では、ニホンスイセン(学名:Narcissus tazatta var.chinensis)が古来中国を経由し渡来したと言われています。本州以南の比較的暖かい海岸近くに群生している姿を見た事があるのではないでしょうか。
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福井県の越前海岸は有名ですね。
(日本三大群生地の一つ)
写真は一部分です。
私は残念ながら群生の姿を見た事はないのですが、一度は見てみたいものです。
ちなみに、一番の見ごろは1月から2月の下旬くらいだそうです。
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美しい姿には「毒」がある・・なんていいますが、スイセンは有毒植物で毒成分はリコリン等です。
実は全草が有毒で、茎の部分は特に毒成分が強いとされています。
葉がニラに似ている事から、間違えて食べ中毒症状を起こすという事もあるそうです。また、皮膚の弱い方は、接触皮膚炎を起こす方もいるようですから心当たりのある方は気をつけください。
スイセン(学名:ナーシサス)はギリシャ神話の中に登場する、「ナルキッソス」の名前が由来ともされています。
神話はこんなお話です。
ナルキッソスという美少年がいました。周囲のたくさんの相手から言い寄られたものの、高慢にもはねつけ恨みを買います。
そんな彼への恨みを聞き入れた「復讐の女神ネメシス」により呪いをかけられ、彼は水面に映る自分自身に恋をしてしまいます。
水面に映る彼は、覗き込む彼になにも答えてはくれません。彼は必死に水面に映る自分に触れようとしますがかなわない・・・。やがて彼は憔悴して死んでしまいます。
そして、その体は水辺でうつむきがちに咲く「スイセン」に変わった、というお話です。
だからスイセンの姿は少し頭を下げたような形で咲くのです。
切ない話でもあり、「ナルシスト」の語源でもあるようですね。
そんな悲しい逸話をもつスイセン。でも、春の植物アイテムとしては決して外したくない植物の一つです。
園芸品種も多く、ニホンスイセンだけでなく西洋スイセンはより華やかな花を付ける事から人気の高い植物です。
ラッパ咲き、カップ咲き、八重咲き、トリアンドロス咲き(下向きに咲く)、シクラメネウス(シクラメンのように花が反転する)など。
昨年、花壇にラッパ咲きの球根を忍ばせておきました。
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1月の花壇 ハボタンは観賞後撤去 | 3月の花壇 ハボタンの後アイスランドポピーと ラッパ咲きスイセン |
(同じ場所ですが方向が異なりごめんなさい) |
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1月の花壇と3月の花壇を比較して見ましょう。生長の具合も違いますが、
ハボタンの観賞期間が終わった後、花が咲くまで楽しむのもいいですが、
場所によっては「似合わない場合」もあります。
その場合は抜取り他の植物へ変えてあげます。今回は一般的ではありますがアイスランドポピーを植えてみました。
その隙間から顔を覗かせているのが、ラッパ咲きのスイセン。
花径は5cm程度、黄色一色と白に中心がオレンジ色。パンジー・ビオラとお揃いの色合いにしてみました。
アイスランドポピーは花色にピンク(写真の色)などもあります。
最初に「春は一瞬ですね」と触れていますが、今見ている花は、11月下旬から咲いているのです。(当たり前ですけど)
寒いと人は中々「花」に目がいかないようです。
植えていること知っていても、立ち止まり観賞するには「寒すぎる」。
暖かくなると、やっとその美しい存在に目をやるのですが短い期間になりますね。とても残念です。さて、皆さんはどちらでしょう。
自称ガーデナーの私は、こっそり一人で楽しんでいます。管理をする際に、「こんな感じ、あんな感じ」と咲く姿を想像して苗や種・球根を植えては育て、
天気の良い日は昼のお弁当を持って、庭でピクニックです。(防寒はしっかりしていますが・・・)
仕事の合間でも、至福のひと時ってわけです。
スイセンも4月中旬には終わりになってしまいます。
その後の育て方、増やし方も紹介しておきましょう。
(結構、長いこと植えっぱなしで花が咲かなくなった。という質問は多いです)
チューリップやヒアシンスなどと同様、典型的な球根植物です。
市販の球根(色んな品種があるから秋はよく見てください)を買って鉢や花壇に植えて育てます。一定の寒さに当たると休眠から目覚め茎が伸びてきます。ニホンスイセンはお正月ころから2月下旬ごろまで咲きます。
写真のような西洋スイセンは3月の中旬ごろから4月の中旬頃まで。
今時では、園芸店に行くと「開花株」が出ていると思います。花を見て選んでもいいですね。
開花後は(場所によりますが)枯れてしまうまで、花や茎を残しておきます。そうすると球根が太ります。(チューリップの話の時もご紹介しました)
ただ、スイセンはチューリップなどのように子株が育つと親株が衰えるような性質ではなく、子株が育って親株も残る性質を持っています。
※花の咲いた球根を親株、地下で増えた球根を子株と呼んでいます。
よって、群生したりするのは植えた分、翌年は倍の数で増える事になります。
株が大きくなりすぎたり、株が細分化しすぎると開花しなくなるので、時には株分けをしてあげる事で翌年、もしくは2年目くらいから開花します。
また、土壌が窒素過多になったり、植え付けが浅すぎたりすると、夏場の暑さに耐えきれず急に枯れたり、開花しなかったりします。
スイセンは日本の気候風土と相性がよいので、基本ほったらかし状態でも
勝手に増えて、勝手に花が咲きます。
コンテナ植えの場合は、子株が十分に育たない事がありますので、そのまま放置しても翌年は花が咲かないかもしれません。
状態が枯れるまで放置し(枯れるまでは水遣りをします)その後堀り上げ、乾燥させて保存します。その秋に再度植付け、水遣りも開始します。
今回は期待できないかもしれませんが、2〜3年後にはで開花します。
気長に育ててください。
花の小さい小型種は放置状態でも数年は咲きます。
スイセンはもう暫く(場所によって)楽しめるかもしれません。
何気ない「スイセン」も、目をやると「特別のスイセン」になりませんか。
今年の秋は来年の春先を想像して(ちょっと早すぎますね!)、園芸店の開花株のチェックをしたり、夏が過ぎる頃にはニホンスイセン、西洋スイセンとたくさん球根が出回ってきますのでチャレンジしてみては!
春の一瞬の為にも、育ててみる価値はありそうです。
切花としても香りが良く、長く持ちます。
そろそろ、ラッパ咲きスイセンも終わりになります。
花壇には植えっぱなしに出来ないので、4月の下旬にはお引越しです。どこへ動かしてあげようか、これも楽しみの一つです。
そろそろ、忙しい季節がやってきます。ガーデナーとしては。
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御園 和穂
(09/04/02掲載)
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