34. 環境影響評価法

 

 環境影響評価(通称、環境アセスメント)とは、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施にあたってその事業による環境への影響について自ら適正に調査・予測・評価を行い、その結果を公表して地域住民などの意見を聞き、十分な環境保全措置を検討することなどにより、その事業計画を環境保全上より望ましいものとしていく仕組みである。

 

環境アセスメント対象事業

     第一種事業:必ず環境影響評価を行う一定規模以上の事業

     第二種事業:第一種事業に準ずる規模を有し、環境影響評価を行う必要があるかどうかについて許認可等を行う行政機関が都道府県知事の意見を聴いて、個別に判定する(スクリーニング)事業

 

手続きの流れ

     スクリーニング(第二種事業の判定)

 

     スコーピング(環境影響評価の項目および手法の選定)

   環境影響評価方法書

 

     環境影響評価の実施および環境影響評価準備書の手続き

 

     環境影響評価書の手続き

 

 

     許認可等における環境保全の審査

 

     フォローアップ(事業着手後の調査等)

 

 

閣議決定要綱から環境影響評価法への主要な改善点

     対象事業の拡大

 

     対象項目の拡充:環境影響評価の対象となる「環境」の範囲を、公害の防止と貴重な自然環境の保全に限定せず、環境基本法に対応して地球環境生態系身近な自然などを含む幅広い項目とした。

 

     早期段階の手続きの導入(スクリーニング・スコーピング)

 

     住民参加機会の拡大

 

     準備書記載事項の拡充

 

     新たな評価の考え方の導入:評価の考え方について、全国一律の固定的な基準に適合しているかの評価だけでなく、環境影響を回避低減するための最善の努力をしたかを評価する視点を取り入れた

 

     環境省関与の強化

 

     評価書の補正

 

     地方公共団体の関わり

 

 

重点化と簡略化

 事業者は、事業特性や地域特性等を考慮して、調査・予測・評価の重点化、簡略化を行い、メリハリが効いた、ポイントのわかりやすい環境影響評価をすることが必要である。

 

「目標クリア型」から「ベスト追求型」アセスメントへ

 環境影響の緩和措置、いわゆるミティゲーションの考え方を導入し、環境基準などの達成だけでなく環境影響を回避低減するための最善の努力がなされているかどうかについて、事業者自らの見解をとりまとめることによって評価を行うという考え方を導入した。

 

     回避:開発等の行為そのもの、またはその一部を行わないことで影響を回避すること。

     最小化:行為の実施の程度または規模を制限することにより、影響を最小化すること。

     修正:影響を受けた環境そのものを修復、再生または回復することにより影響を修正すること

     軽減/消失:行為期間中、環境の保護や維持活動により、時間を経て生じる影響を軽減または消失すること

     代償:代替の資源または環境を、置換あるいは提供することによって影響を代償すること