アジサイ
墨田の花火
 園芸店を覗いたら、美しい「アジサイ」の花が目につきました。
代表的な青色、そしてピンク色、赤色、紫色や白色。
そろそろ初夏ですね。
 アジサイはオランダ商館員の一員として渡来し、オランダ人と偽り出島に 滞在し、医療や博物学的研究に従事したドイツ人医師シーボルトが、奥さんの 楠本滝の名を学名中(Hydrangea macrophylla f.Otaksa オタクサ=お滝さん)に取り入れたことは有名な話です。
「アジサイ」その物の名前は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさあい(集真藍)」が訛ったものと言われています。
漢字で表す「紫陽花」は唐の詩人白居易が別の花に名づけたもので、平安時代の学者源順がこの漢字をあてはめたことから誤って広まったと言われています。

  アジサイ 和名:紫陽花 日本原産 
 学名はハイドランジア(Hydrangea)「水の容器」という意味です。
 ミナズキ最も一般的に目にしている球状のアジサイは西洋アジサイで、日本原産のガクアジサイを品種改良したものです。
 花の色は土壌のpH濃度によって決まる(変わる)といわれていますが、実際は土壌中のアルミニウムイオン量によって様々に変化するのです。  日本は火山国で殆どが酸性土壌になるので、基本は「青色」。ヨーロッパの土壌はアルカリ性のため、持ち帰った「青」のアジサイが自然に赤っぽくなり、さらに改良され華やかな大きな花へと変化したようです。
その後逆輸入されてこの季節には人気物です。
 花は蕾の頃は緑色、それが白っぽくなり、開花する頃に水色(または薄紅色)、 咲き終わりはさらに花色は濃くなります。
だからでしょうか、花言葉が「移り気」「心変わり」などが当てられています。
 ご存知だとは思いますが、花は中心の部分で目立ちにくく、花びらに見える部分はガク(装飾花)になります。
西洋アジサイは全てが装飾花に改良されました。

 アジサイは品種もとても多く、花の形も様々です。
 ガクアジサイの園芸品種『墨田の花火』は半八重の花が少し暴れた姿が花火に似ている事が由来でしょうか。白がこの季節によく似合います。
 また、花穂がピラミッド状の『ミナズキ』、切花でも人気が高く華やそのもの。
少し地味ですが上品な『アナベル』はオオデマリのように丸く花をつけます。
ちょっとグリーンがかっていて、私のお気に入りです。
アナベル 蕾の状態です。 開花は6月の上旬からです。アナベル 全体の姿
 日本ではあまり見かける事はありませんが『ツルアジサイ』はウォールプラントとして今後は見直していくといいですね。
 紅葉を楽しむなら『カシワバアジサイ』、秋の葉色は素敵です。
(ご紹介したアジサイの花色は白色ばかりでしたね。すみません・・・)
 アジサイは日向から半日陰を好みますので、シェードガーデン、和・洋庭園と様々な場所に似合います。
梅雨の季節では主張しますが、出しゃばらず他の樹木などにもよく馴染みます。
新芽も枝の先端にドングリが付いているような姿が可愛らしく、葉は光沢のある淡緑色の卵形。
 花の時期が長く、剪定を忘れて放置され枯れた花の姿も悪くないと思います。  私はドライフラワー(西洋アジサイの青色や紫色の花)にして、クリスマスリースとしても楽しんでいます。
 切花にするなら、切り口に明礬を塗ると水上げが良くなります。
ちなみに、明礬の溶液は酸性でアルミニウムを含むので青色は鮮やかになります。(青色のアジサイに明礬の薄い溶液を与えた場合です。)では、青色のアジサイに石灰を施すと赤色やピンク色になるのでしょうか?一度試して見たいと思います。

 アジサイの名所も沢山あります。
 奈良の長谷寺や鎌倉の成就院、箱根鉄道等‥。この時期、機会があれば是非見てみてください。
 鉢物はそろそろ終わりですが、地植えのアジサイはこれからが本番です。
 梅雨の雨がよく似合う花です。
 落ち着いたガクアジサイ、色とりどりで華やかな西洋アジサイ、どちらがお好みでしょう?
 庭の片隅に植えてみてはいかがでしょうか。


御園 和穂


 
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