八重咲きで灰緑色の葉のストック (葉には少し毛があります) |
高さは60cm〜80cmの切花用や花壇用のものから矮性タイプで30cm程度のコンテナ用があります。花は4弁花で小さく、本来のストックは、葉が木質化した茎に多数付き、披針形(ヒシンガタ)(※)で灰緑色で白い毛に覆われています。 ※披針形(ヒシンガタ)とは・・・葉の形で平たくて細長く、先の方が とがり、基部の方がやや広い形をしている物の呼び方です。 現在では品種改良が進み、葉には白い毛のない濃い緑色のものや、枝のない1本ものなど様々な形態のものが作出されています。 花色は赤色、桃色、紫色、青色、淡い黄色、淡い青色、淡い桃色、白色など豊富な色が揃っています。また、強い芳香があり、特に夜よく香ります。 花の形は当初の一重の物から大輪の八重まで作られ、長い筒状の穂になって咲きます。 |
名前の「ストック」は「茎」を意味し、茎がまっすぐ伸び長くなる事に由来しています。和名の「アラセイトウ」は江戸時代に入ってきた時、葉や茎に生えているうぶ毛がラセイタ(ポルトガル語で布地のラシャの事)の手触りに似ていたため「葉ラセイタ」と呼ばれ、訛ってアラセイトウになったと言われています。 私は、花壇花として背の高い植物(花壇なら後ろ手に入る)の仲間として植付けをしてきましたが、矮性タイプが出てきて、花壇であれば中段から手前までの組合せ、コンテナ植えとしての用途も広がりました。 以前は、苗の段階で低温に合わないと開花しなかったので、春先にしか苗が手に入りませんでしたが、最近は極早生種や超極早生種も出回り、秋からの植替えに利用できるようになりました。 花壇植えなら背の高いものから矮性タイプ、色も豊富で、一重や八重咲きで表情も変わります。コンテナ植えなら、パンジーやビオラ類、プリムラ類、ネメシア、葉ボタンなどの花苗と組み合わせるとよく似合うと思います。 |
ストック:八重の濃いローズ |
ビオラ:パープル系 |
ネメシア:薄いピンク系 |
今回はストックを使ってコンテナを作ってみました。植え替えたばかりなので春先に茂ってきたらご紹介しますね。 栽培のコツは・・・ 種は小さいタイプです。土壌はアルカリ性土壌を好みますので、酸性が強い土壌の場合は、植付け前に苦土石灰等を加えて土壌phを調整してから植付けましょう。 日当たりの良い場所を好み、根付くまでは水を切らさないようにしてください。開花時期が長いので、花柄摘みを行い、切戻しをすると脇芽が伸びてきて開花します。 一般的に園芸店で販売されている物は見た目も豪華な八重咲き種が多いのですが、残念ながら八重咲きは種子が出来ません。種は購入される方が良いと思います。 余談ですが、学名のMatthiola:マッティオラはイタリアの植物学者のマッティリオーニの名前にちなんでつけられたものです。また、ストックは道路沿いに植えられる事が多く、gilly flower(ジリーフラワー)「案内人の花」とも呼ばれ、古い時代のフランスの男性は意中の女性に巡り会ったとき、「浮気はしない」という誓いも含め、「案内人の花」ストックを帽子の中に入れて歩いたという事です。 花壇やコンテナ、これからの植え替えにも十分に間に合います。 夏があまりにも暑かったので、秋蒔きの草花の出回りが例年に比べると遅かったようです。今、良い苗が入手可能です。園芸店を覗いてみてください。 もうおすみですか?「冬への準備」 植物も少し整理して、年内には片付けておきたいですね。 参考にされてください。 @ 植え替えは12月の上旬くらいまでには終わらせておきましょう。 あまり、遅くなると根の張り方が弱く、いくら冬に強いといわれる植物も弱ってしまいます。 12月後半からの植付けの場合は、コンテナへの植え付けとし、ベランダや軒下の寒風や霜 などの影響を受けにくい場所で育てましょう。 A 植物の種類によって、置き場所や水・肥料の管理方法が異なります。 ・耐寒性のある植物は戸外で十分育ちます。寒さに比較的強く0℃を下回っても生育可能な 植物です。(パンジーやビオラ、秋植えの球根類等) ・半耐寒性の植物は戸外でも軒下や気温が極端に下がらない場所で育ちます。 気温5度前後で生育が鈍くなりますが、枯れはしません。 (ゼラニュウム、ガーデンシクラメン、マーガレット、プリムラ類等) ・非耐寒性の植物は室内で生育させます。 非耐寒性植物は10℃を下回ると葉がぐったりしてきます。種類によっては枯れてしまう事もあります。(観葉植物類やベゴニア類、ハイビスカス等) 本来は10月中には室内へ取り込みたかった植物ですが、忘れているものがあれば早く室内に<取り込みましょう。また、カーテン越しの場所は日当たりが良ければ、日中は最高に良い場所になりますが、夕方からは一番寒い場所にもなりますので要注意。ただし、植物は大幅にあちらこちらへと動かすと、環境の変化に順応できなくなり枯れてしまう事もあります。少しの範囲であれば問題はありませんが、ある程度位置を定めて置きましょう。 また、ビニールで覆ってやったり、夜だけダンボールを被せてやったりすることで十分に寒さよけが出来ます。 育てている植物や鉢物がどの分類に属するのか、知っておくとよいでしょう。 水やりは、花壇やコンテナ(戸外の場合)は土の表面が乾いてきて、土が白っぽくなってき<たらタップリ与えてください。 時間は午前中が良いでしょう。夕方近くになると気温も下がってきますので、場所によっては水が凍ってしまったりする場合もあります。 室内で育てている鉢物は、暖房が入って乾燥したり、気温が高い場所では、(乾き具合にもよりますが)毎日の水やりが必要になるかもしれません。 冬場の鉢物、例えばシクラメンなどは鉢の構造が底面給水になっているものが殆どなので、鉢底の受け皿に水を溜めておきます。また、お天気の良い日には外へ出して、鉢の上からタップリ水をかけてあげてください。鉢の中の空気が入れ替わり生育が良くなります。 シャコバサボテンは、室内であっても土の表面が乾いたらタップリ水を与えてください。 観葉植物などの葉物の鉢は、乾燥具合にもよりますが、3〜4日くらいの間隔で様子を見ながら水を与えてください。(あくまでも目安です) 肥料は戸外の植物は12月の始めに、追肥で化成肥料を与えておきましょう。その後、1月、 2月には与えません。 一番寒い時期には、生育期のように栄養を必要とはしないので与えません。 3月に入って気温が上がり始めたら、追肥として化成肥料を与えてください。 室内の鉢物の場合、花を咲かせている物(シクラメンやリーガスベゴニア等)は、通常は化成肥料を置き肥として株元に数粒播いておき、開花中には液体肥料を2000倍に希釈して、水やり替わりにタップリ与えてください。 観葉植物などは上記の液体肥料を10日から2週間に1回程度与えると良いでしょう。 ただし、あくまでも目安になります。様子を見ながら(よく観察して)育ててください。 B 寒風と霜と雪。 冬も本格的に寒くなってくると、霜が降りたり、冷たい風も吹きます。 戸外の植物は、一応寒さに耐えられるのですが、どうしても気になる場合は、株元にマルチング材(※)を敷いてやると保温効果があります。 ※マルチング材とは:戸外の場合はバーク堆肥や腐葉土を植物の株周りに敷く事を マルチングと言います。室内の場合は少し大きめのチップ材なども市販されています。 あまりの強風や雪が降る場合、コンテナ類は軒下に移動させてください。 動かせないようであれば、植物が押し潰されないようにビニールを被せるだけでも効果的です。 もちろん、その後お天気の回復に合わせて、ビニールは取除いてくださいね! 年の瀬が迫ってくると中々手が回らなくなってくる部分です。 少しずつ片付けておけば安心です。 |
今年はどんな一年でしたか? 私は、真夏の猛暑の時期を除けば、平凡ですが普通通りに過ごせたと思います。 猛暑の中、水やりや花の管理において悩む事も多く、これからの花苗の選び方も考えさせられました。 来年はどんな年になるのか、楽しみですね。 |
少し早いですが、この一年有難うございました。良い年をお迎えください。 |
御園 和穂 (13/12/01掲載) |
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