私が会社に入社した頃は、世間の環境への関心も薄く、剪定枝などは畑で燃やしていました。平成13年の野焼き禁止法施行に伴い、環境保全の意識も高まり、剪定枝等の焼却をすることもなくなりました。
今日では、環境問題は世界問題となり、世界中が真剣に取り組んでいかなければ、到底解決できそうもありません。かけがいのない地球を次世代の為に守っていくことは、私達の義務であり、一人一人がもっと環境保全の意識を高め、身の周りの出来ることから実行することが大切だと思います。
その第一歩として弊社では、公共事業に頼っていく会社の体質改善と、環境に配慮した企業活動を始めました。平成15年7月には、環境国際基準のISO14001を取得し、平成16年9月に、木くずの中間処理業の許可を得て、木くずリサイクルセンターを設立しました。
そのリサイクルセンターでは、樹木剪定で発生する剪定枝を受け入れ、破砕によりチップ化し、それを原料に剪定枝のリサイクル堆肥「エコ・ユウキ」の製造販売を行っています。当初は堆肥造りのノウハウもなく、専門家の意見を取り入れながら品質改良を重ねました。安全な有機物にこだわり、化学肥料を混入し肥料成分を調整することはせず、剪定枝の葉の部分を多く入れることで肥料成分を高め、又米ヌカ等の有機物を混入し発酵を推進させました。お客さまより、腐葉土のようにつかいやすい堆肥ということで、販売実績も上げ、平成18年2月には、北九州市より土壌改良剤として建設再生資材の認定を受け、同年5月に福岡県からリサイクル製品認定を受けました。「エコ・ユウキ」は、地域から発生した剪定枝を堆肥化し、植栽時に有効利用することで、安全かつ環境に負担をかけず、再び自然に還元する循環システムです。
しかしながら、堆肥というものはなくてはならない土壌改良資材ですが、市場では家畜の糞から成る堆肥があふれており、販売競争も激しく、堆肥市場価格も安値で取り引きされています。採算性の点では厳しいことから、「エコ・ユウキ」の付加価値を上げるために大学との連携で、下水汚泥と木チップと「エコ・ユウキ」を混合して、植栽培養土の開発研究を行なっています。また、軽量骨材との組み合わせで、屋上緑化用の軽量土の開発も進めています。
その他の利用方法として、樹木の根元に木チップを敷きつめることで防草効果、夏場の乾燥防止に優れた効果があることから、マルチング工というものを積極的に取り入れていくべきだと思います。
これからも地域に密着した循環システムを推進し、少しでも社会貢献ができるよう努力していきたいと思っています。
|
大野 高志
<(株)守恒造園建設 代表取締役>
(11/01/11掲載) |
|