ドクダミとクローバー
 天気予報によると、今年は例年になく『暑い夏』になるとか・・・。
 毎年猛暑なので、どのように異なるのか?よくはわかりませんが、ともかく暑いのでしょう。
 もうすぐ梅雨明けです。暑さ対策を早くしておきましょう。

 私は気象予報に関係なく、「夏」を感じる植物がいくつかあります。
 別段、何の意味もないのですが、咲き始めると「あっ、夏が来たな〜」と思うのです。まず、一つ目はドクダミです。
 公園の樹の下や住宅の周辺、道端や空き地、特に半日陰の少し水はけの悪い場所を好んで生えています。
 ドクダミ 学名:Houttuynia cordata ドクダミ科ドクダミ属の多年草。
別名:ドクダメ(毒溜め)、ギョセイコウ(魚腥草)、ジゴクソバ(地獄蕎麦)、ジュウヤク(十薬)。 原産地:日本(本州以南)、台湾、中国、東南アジア。
 日本を含む東アジアに広く分布し、毎年6月の中旬くらいから花を咲かせる多年草植物です。
 名前の由来は、独特の臭いを持つ事から毒溜め(ドクダメ)と呼ばれ、訛ってドクダミになったとされています。
 学名のHouttuynia(ホウツッニア)はオランダの医師のハウトニン氏の名にちなんで付けられ、cordata(コルダタ)はラテン語で「心臓の形をした」という意味で、ドクダミの葉の形が心臓の形をしている、という所からきているそうです。
 ドクダミの生命力は、他の植物に比べて遥かに強く、いくらむしり取っても根や茎が残っていた場合、翌年は地面一杯に広がってしまいます。
 そしてこの時期白い花を咲かせます。
 実は私にとって「大好き」な植物の一つなのです。蒸し暑い中、臭気が心地よく感じられ、白い花が一面に咲いた姿は目に涼しく感じ、なぜか背筋がピンっと張る感じがするのです。
 白く花のように見えている部分は4枚の総苞で中央の黄色い部分が「花」です。花弁はなく、雄蕊と雌蕊のみからなっています。
 実は確認した事がありませんが、先端に種が出来ると思われます。
 ドクダミの姿形に対して問題はないようですが、その生命力の強さと臭気が嫌われ物の所以なのでしょう。
 ベトナムでは料理に利用されていますし、日本でも山菜として天ぷらなどで食べられているのです。
 別名にジュウヤク(十薬)という名を持っていますが、古来から民間薬として利用されてきました。(ジュウヤクは漢方名です。)
 江戸時代の貝原益軒が書いた『大和本草』には馬に与えると、「十種の薬の能ありて十薬となす」、すなわち、ドクダミは万能薬であることを記したとされています。
   ※貝原益軒(かいばら えきけん) 江戸時代の本草学者、儒学者で西洋の生物学や農学が入ってくる
                       前までの日本史上最高の生物学者。
                       『大和草本』は貝原が書いた生物学、農学の代一級の書物。

 薬効や効能として、葉や茎は「老廃物を除去する作用」や「毛細血管の強化」など、体の中の余分な水分を排出する利尿効果があるようです。また、自律神経をコントロールする働きもあるそうです。
 ドクダミの独特な臭いは、精油成分で、強い抗菌作用があるそうです。ドクダミの臭気には動物も昆虫も嫌う臭いなので、抗カビ、抗菌、白アリの予防や食品の防腐剤としても利用されているそうです。
 独特の臭気は、乾燥させると精油が揮発するので、葉や茎は干すことにより煎じて飲めるようになります。
 煎じたお茶の効能は便秘症、風邪、蓄膿症、耳鳴り、胸の痛み、のぼせ、胃酸過多、高血圧、動脈硬化、冷え性・・・など数え切れない効能があるようです。
 ドクダミは干して煎じるだけでなく、入浴剤としても使われるようです。冷え性、更年期障害、腰痛、アレルギー性湿疹、アトピー性皮膚炎、皮膚炎、ニキビ、吹き出物、心身のリラックス効果と血行、新陳代謝を高め、皮脂分泌を活発にするそうです。
 干した物を袋に入れて浴槽へ入れる方法と煎じた液を混入する方法があるようです。(浴槽の種類によっては使用不可)「薬膳の書より参照」
 早速薬局に行ってみたら、ありました。
 ドクダミ茶、飲むサプリメント、紅茶にドクダミワイン、ドクダミを漬けた蜂蜜、化粧品まで。こんなに市販されているとは思いませんでした。


←ゴシキドクダミ ↑ドクダミ八重咲き
      (写真植物図鑑参照)
 花壇にドクダミを植付けることはありませんが中には、園芸種として用いられている「ゴシキドクダミ」等があります。 葉に斑が入り、クリーム色や縁が赤やピンクになります。
 ちなみにゴシキドクダミはやや日当たりの良い場所で育てると赤やピンクの色が増します。日陰だと葉色が悪くなります。
 もう一つは、葉は緑、花は八重咲きの「フローレ・プレノ」があります。
 ヨーロッパでは普通のドクダミや園芸種のドクダミは花壇に使用されています。私も時々使用していますが、さすがに花壇ではなく、ハンギングバスケットなどで夏のカラーリーフとして使っています。
 (※要注意:園芸種でもドクダミなので地下茎がよく伸びます。地植えにされる場合は他の植物を駆逐する恐れがあります。もしも植え付けをしようとする場合はよく考えましょう)

 もう一つの植物はクローバー。
 シロツメクサ 学名:Trifolium repens
マメ科シャジクソウ属の多年草。
別名:クローバー。原産地:ヨーロッパ。
開花期:春〜秋まで。和名:ツメクサ。
 茎は地下を這い、葉は3枚、時には4枚の物もあり「四葉のクローバー」として親しまれています。
 花は基本が白、ピンク(アカツメクサ)などがあります。
 名前の由来は、和名の「ツメクサ」からです。江戸時代にオランダから輸入されるガラスの器の梱包の際、詰め物として使われていた事から「詰る草」=ツメクサになったのだそうです。
 明治以降は家畜の餌として導入された物が野生化し増えてしまったようです。
 ドクダミのようにインパクトのある植物ではありませんが、この季節になると芝生の中だろうが、どこでも見かけます。
 花は蝶のような形をした小花がたくさん集まり球状をしています。
 ハチミツ採取植物でもあり、世界で最も生産量が多いのはクローバーのハチミツだそうです。
 花穂は強壮剤や通風の体質改善薬として使用され、葉は茹でて食べられるそうです。解熱・鎮痛効果もあるようです。
「薬膳の書より参照」
 シロツメクサが生えている場所を見るとなぜか四葉のクローバーを探してしまいます。アメリカでは幸運の葉と呼ばれ、五つ葉の場合は金銭上の幸運、六つ葉の場合は地位や名声の幸運、七つ葉の場合は最大の幸運をもたらせてくれるそうです。ちなみにギネスブックに葉の数の多さでの登録があり、現在56枚のクローバーが登録されているとの事。大きな幸運が期待できそうですね!
 シロツメクサの仲間でアカツメクサやクリムゾンクローバーがあります。
 アカツメクサはシロツメクサがピンク色になったもので、シロツメクサの中に時々見かけます。
 園芸種として、出回っているものにクリムゾンクローバー(別名:ストロベリーキャンドル)があります。
  (写真植物図鑑参照)
 草丈は40cm程で花は4〜6月に咲きます。草丈が高いので切花としても使用でき、葉はクローバーとあまり変わりませんが、暑さに弱く、高温多湿の暖地では一年草扱いになっています。
 花壇でもコンテナでも利用できる草花の一つです。クローバーはさすがに花壇には使用しませんが、花壇の周囲に勝手に生えている姿はよく見かけますね。
 マメ科の植物なので、根粒菌の作用で空中の窒素を固定します。現在は使われているかどうかは定かでありませんが、地を豊にする緑肥植物としても使用されます。
 
 それぞれ、特徴のある植物です。
 除去するには手間がかかり、なかなか根絶できない草花のようです。
 根絶を目指すためには、草花の特徴を理解して、長い時間をかけながら苦手な環境を作るしかないようです。
 でも、「大好き」な植物なのです。おかしいでしょ♪

 『暑い夏』に対する心の準備はできました。
 日焼けも覚悟して、汗もたくさん掻く準備もしました。
 夏は暑いもの。 頑張って乗り切っていきましょう!

御園 和穂  
(13/07/01掲載)  

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