ダリアが好き!
 猛暑だった夏は「本当に、本当に暑い夏」でした。
 気温は異常に高く、蒸し暑くて雨が少ない。降れば大雨、嵐のような・・・温暖化の影響なのでしょうか? 
 やっと気候も落ち着いて、やっと過ごし易い季節がやってきました。
 冬に入る前のほんのひと時、穏やかに過ごしたいですね。
 
 暑さを乗り越えてきた植物、随分傷んだ樹木や草花をみかけます。さあ、どうやって回復させましょうか?
 草花はもう少しすると入れ替えの時期に入りますが、その前に切戻して再び花を付けさせましょう。
 全体の三分の一程度を軽く切って少し肥料を与えます。(生育具合にもよるので様子を見て切ります。)まだまだ乾きやすい時期なので、水やりは土の表面が白っぽくなってきたらタップリあげてください。
 樹木は、草花のように素早い動きはしません。ゆっくり息を吹き返して再生をしていきます。真夏の暑い時期は、葉を落として水分や養分のバランスを保ちながら自分自身を守ります。(夏場、落ち葉が多くなかったですか?)
 葉や幹が部分的に茶色くなった姿を見かけます。
 多分「日焼け」だと思います。この後、葉は自然に落ちます。無理してむしったり、枯れたと思って切ってしまわないよう、よく観察してみてください。
 
 今回は「ダリア」をご紹介します。
 
 ダリアは春から初夏に植えつけて初秋から晩秋まで楽しむ球根植物です。植付けは来年の話ですが、鑑賞はこれからが最盛期。
 これからの時期は園芸店、量販店には秋植えの球根植物がたくさん出回ります。来年の春に開花させるためのものです。
 個人的には「とっても好き」な植物の一つです。
 ダリア 
学名:Dahlia Cav. 英名:dahlia 和名:ダリア、テンジクボタン(天竺牡丹) キク科の多年生草本植物(春植え球根・塊根)、原産地:メキシコ グアテラマ、開花時期:7月〜11月頃
 現在のダリアは野生種を掛け合わせた園芸種で、多くの品種があり、花の形や色、大きさなど細かく分類されています。
 ダリアの最初は、自生地でもある「アステカ帝国」(今のメキシコ)で、帝国時代には「神聖な花」として栽培されていたようです。
 現地語で「水笛」(アコクトリ)と呼ばれていました。ダリアは茎の中が空洞でストローのようになっています。これが由来だそうです。
 1789年にメキシコシティー植物園からスペインのマドリード植物園にタネが送られ、その後ヨーロッパへ広がったそうです。
 「ダリア」という名前の由来は、当時のマドリード植物園の園長が植物学者リンネの弟子のアンドレアス・ダール(Anders Dahl)で、彼の名前にちなんで付きました。
 当時は門外不出の扱いであったようですが・・・その後各地に広がり、新品種が生まれたようです。
 日本へは1841年、オランダ人によってもたらされました。当時は牡丹の花に似ていることから「天竺牡丹」の名で親しまれたそうです。盛んに栽培が始められたのは明治も中頃からのようです。
 大正時代には「日本ダリア会」が発足され、現在では多く方が家庭園芸やダリア園で楽しむ事ができます。

 ダリアは大輪系から小輪系まで、豪華な花から可憐な花まで様々な種類があります。暑さに弱いのがネックですが、初夏から開花し、真夏は花数が減ったりしますが、秋口になって涼しくなると、再び元気に花を咲かせます。
 バラやチューリップなどと並び、花色が豊富で「青色系」を除けばほとんどの色があります。
 ダリアは園芸品種が多いので、花の大きさや形、草丈などで分類されています。
 花の大きさは超巨大輪(直径30cm以上)、巨大輪(26cm〜30cm)、大輪(20cm〜26cm)、中輪(10cm〜20cm)、小輪(3〜10cm)、極小輪(3cm以下)です。
 草丈も150cm以上から下は50cm以下まで。
 花の形は最も基本的なシングル咲き、シングル咲きの花びらとは別に中央に短い花びらが付くコラレット咲き、花びらの先がクルッと内側に巻き込み半筒状になったオーキッド咲き、小輪八重で花びらの先端が丸く中央の方が筒状になったポンポン咲き。

フォーマル・デコラティブ咲き

フリルド咲き
←スイレンのような花のウォーター・リリー

 その他にアネモネ咲き、ボール咲き、カクタス咲き等、数多くの種類、分類があります。
 葉の色も緑色の葉や銅色のシックな葉もあります。
 草丈や花の大きさ、色、葉の色が豊富なので、他の植物との相性は抜群です。
←赤のヒマワリ、キンギョソウ、ガイラルディア、ケイトウ、シングル咲きのダリアなどでまとめた花壇。
 赤、朱、主赤、オレンジなどで組合せています。
 
 以前、ダリアは有毒植物とされていましたが、これは誤りで原産地のメキシコでは食用ダリアも栽培されています。
 日本でも球根の部分を食用とする試みがあったようです。ちなみに、レンコンに似た食感だそうです。
 また、食用ギクと同じように花びらを酢の物などの飾りとして配、そのまま食べることができます。食用ギクは黄色が一般的ですが、ダリアは色彩が豊富なので、中には食べるとなると少し勇気がいるものもあるかもしれませんね。

 ダリアの栽培は原産地がメキシコの高原なので、暑さに弱く、日本では北海道や東北地方の比較的涼しい場所の方が美しく咲きます。
 北九州の場合、咲かないわけではありませんが、春に植付け、初夏に開花し、梅雨時期に雨が多くて気温が上がってくると、花色が少しくすんだり、腐ってしまうこともあります。
 この時点で、草丈の半分くらいで切戻し、風通しをよくして夏を越し、秋口から花を咲かせます。肥料は植付け時、また、開花から切戻しまでの間化成肥料を施し、真夏はちょっとお休みして、秋口から再び開花している時に与えます。
 本来球根植物は1つの球根に1個の花をつけます。しかし、ダリアは1つの球根から芽を出したあと、茎が伸び、脇芽が出て、摘心を行うと脇芽が伸びて花を付けます。また、実生からも育てられ、播種した年に花を付けます。
 実生はソメイヨシノが散り始める頃、播種します。シードバン等に播種し、5mm程度土を被せます。一週間くらいで発芽しますので、その後は球根と同じように育てます。
 晩秋、花が終わったら地上部を切り取り、堀上げます。新しい球根が出来、茎と球根が繋がっている部分が幾分肥大していると思います。この肥大している部分をクラウンといい、芽が出るところになります。球根を水洗いして土を落とし、クラウンを付けて分球します。これがダリアの一般的な増やし方ですが、暖かい場所であれば、堀上げずに盛り土や、バーク堆肥、腐葉土、もしくは敷き藁をして冬を越します。
 堀上げた場合の球根の貯蔵方法は、5枚重ねの新聞紙にバーミキュライトを敷き、球根をのせ、上からバーミキュライトで覆い、ビニール袋に入れます。袋の口は開けたままにして、新聞紙を敷きこんだ段ボール箱にいれ、室内の涼しい場所(無暖房の部屋)で保管します。そして、翌年の春に植付けます。
 
 さて、同じダリアでも背がとても高く、晩秋に花を咲かせる品種があります。

 コウテイダリアです。
 学名:Dahlia imperialis 
 英名:Tree dahlia 和名:木立ダリア(キダチ・コダチダリア)
 原産地はメキシコで、上記のダリアの種類以外で茎が木質化するタイプは3種類。そのうちの1種類がコウテイダリアです。
 特に茎が太くなり、草丈が3〜4mにも伸びます。名前の由来は学名のインペリアルからきている説や草丈がとても高くなるので「皇帝」とついた説があります。
 現在、花色はピンク色で一重の直径20cm程の花を咲かせます。
 背が高いので、一般住宅の場合は2階から鑑賞しなければ「花」を見る事が出来なかったりします。

↑写真 1
 ダリアと同じように春に植付けをして生長させますが、コウテイダリアの場合は前年の茎を節ごとに切り、赤玉土を容器に敷きその中に輪切りにした茎を入れます。
 (写真@:ネットより参照)
 その後、上から赤玉土をかけて埋め込み、無暖房の部屋で保存します。
 

↑写真 2
 3月が過ぎる頃、容器からとりだします。
 (写真A:ネットより参照)
 発芽や、一部発根していたりします。その後、一つずつ黒のビニールポットへ移し、葉が出てくるまで育てます。
 その後は地植え、もしくは鉢植えにして育てます。このような保存方法もありますが、暖かい土地で育てる場合は、咲き終わったら、茎を地際から切り倒し根株にバーク堆肥や腐葉土、もしくは盛り土をして冬を越す方法もあります。
 あまりにも背が高くなるので、背丈の調整を何度かに分けて行ってもかまいません。
 植付けは3月〜5月、背が伸び始め、様子を見ながら6月〜8月一杯で適当な高さで切り戻します。
 9月に※花芽分化が始まりますので切らないよう要注意です。
   ※花木の場合、茎や葉の先に花を咲かせる準備をする事を花芽分化といいます。
     時期を誤って切ってしまうと、その年は花を見る事が出来なくなります。

 それでも2mくらいにはなりますが、屋根より高くはならないでしょう。秋晴れの青空を見上げると、美しいピンクの花がとても素敵です。

 ダリアは一般的ではないのかもしれませんが、たくさん植付けなくても一株でも存在感がある植物です。花壇でもコンテナ・鉢植えでも楽しめます。
 2月〜3月に入ると園芸店などで販売されると思います。好みのタイプを探してみては如何でしょうか。


御園 和穂  
(13/10/01掲載)  

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