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花のコーナー

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御園 和穂##

2019年11月 ゼラニューム

 
 暑い夏は終わり、これから秋本番です。
 今年はいつまでも暑く、台風の多い年でした。
 最大規模の台風が日本列島を通過し、多くの被害をもたらしました。年々規模が大きくなり被害も激しくなり不安を感じます。
 11月は比較的雨が少なく、さわやかで、気持ちが良い時候です。気温も下がってそろそろ暖房が必要になりますね。
 日中、お天気が良ければ年間で一番過ごしやすい季節かもしれませんね!
 花壇では、来春まで楽しめるパンジーやビオラ、秋植え球根などの植替え時期です。寒くなる前に、日差しのある日を選んで作業を進めましょう。
 


 今回はよく目にするゼラニュームを紹介します。

ゼラニューム

画像の説明

学名:Pelargonium Zonal Group
フウロソウ科テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)
原産地:南アフリカ・ケープ地方
常緑性草花、多年草
別名:テンジクアオイ、紋天竺葵(モンテジクアオイ)
開花時期:3月~12月上旬 一定の温度を保てれば周年開花
草丈:20cm~100cm程度
花色:白、赤、ピンク、オレンジ、紫、複色

 ヨーロッパでは、窓辺を華やかに飾る花として広く親しまれています。
 1690年に南アフリカから英国にもたらされ、1710年ごろ様々な品種が大陸に渡りました。本格的な品種改良は19世紀に入ってからです。
 日本へは江戸時代末期にオランダ船により渡来しました。
 アオイに似た葉をもった草花であることと、海外から入って来たので「テンジクアオイ」と名付けられました。

画像の説明

 明治時代に入るとゼラニュームは「花」より「葉」を楽しむようになり、「変わり葉ゼラニューム(写真参照)」が好まれるようになり、一世を風靡します。
 草花なので「花」を楽しむものか思いますが、日本人は「葉」に興味を示したようです。
 花に様々な色があるように、葉にも模様を出させ、秋には紅葉するような葉や、もみじの葉のように深い切れ込みのあるものや四季折々で楽しめる作品を作り出してきました。
 1920年代には「変わり葉番付表」まであったと言われています。現在、その当時の番付表は広島植物公園に所蔵されているそうです。
 変わり葉ゼラニュームの流行は太平洋戦争と共に下火になり、戦争によって多くの品種を失ったそうです。
 戦後、残った品種を生育させたそうですが、以前のような関心は持たれず、本来の「花」が主流になりました。
 現在、変り葉ゼラニュームは一部の育苗家が生育させているようです。

画像の説明

 ゼラニュームは花茎を伸ばした先が4~5本に枝分かれし、先端に1つずつ花を付けます。
 全体でみると手毬のように見えます。 
 葉は丸型で、茂った葉の中から伸びた茎の先に花が咲く姿は可憐です。
 花色は多彩で花びらは一重や八重と多くの品種があります。また特有の香りもあります。
 悪臭ではありませんが、好みは分かれるかもしれませんね(笑)


画像の説明

 四季咲き性質が強く、一年を通して開花しています。
 比較的寒さには強いですが、逆に高温多湿の夏は苦手です。
 真夏は花数が少なくなり、葉が白っぽくなることがあります。これは高温による生理現象なので季節が変わり涼しくなってくると回復します。ご心配なく!

 ゼラニュームには幾つかの種類があります。

■花壇植えで背が高くなるタイプ
 草丈50~80cm程で大振りの花を咲かせます(写真参照)。切り花でも楽しめます。

■鉢花でコンパクトに楽しめるタイプ
 草丈20~30cm程で中鉢や小鉢で楽しめます。この仲間にはさらに小さいミニ(20cm以下)も含まれます。
 ミニ・ゼラニュームは葉も花も全て小型のものが多く、小鉢で仕立てます。ただし性質が弱く、特に夏の高温では弱りやすいです。

■変わり葉タイプ
 これは上記に記載したタイプで、高性、わい性と様々です。花姿で楽しむより「葉」を楽しむので、輪紋葉、覆輪葉、五色葉、絞り葉、黄葉、黒葉、銅葉など色や模様を楽しみます。

 用途が様々ですので、育てたい場所や見せ方によって選んで楽しむことができますね。

【育て方】
 様々な種類がありますが、育て方はほぼ同じです。

花壇の場合
・日当たりの良い、水はけのよい場所に植えます。
 酸性土壌を嫌うので、植付け前に苦土石灰で土壌改良をしておきます。

・乾燥にとても強く、乾かし気味に育てます。
 ゼラニュームは株自体がとても強いので、湿り気の多い用土で日照不足であってもすぐに枯れてしまうことはありません。環境が良くない場合は、茎は徒長し、下葉が枯れてくるので判断しやすいです。

・肥料は早春と秋に化成肥料を置き肥します。開花期にダラダラ肥料を与えていると花茎が軟弱になり倒れやすくなります。
・植付け、植替え、切り戻しは真夏と真冬を除けば、必要に応じて行えます。

 花壇の場合は背が高くなりすぎたり、茎が古くなると木質化し下葉が枯れてきます。大きくなった株は堀りあげ、古い根は取り除きます。合わせて背を低く切り戻します。脇芽のある節の上で切りましょう。

鉢植えの場合
 上記の育て方と同じです。鉢植えの場合の注意は、水の与えすぎによる根腐れや大きく育ち過ぎての根詰まりです。
 
 ≪根腐れの場合≫ 
 茎が変色したり、ぶよぶよして折れたりします。
 傷んだ部分を取り除き、鉢から抜きます。根も黒くなって傷んでいます。
 傷んだ根は取り除き、鉢土は処分して水はけの良い用土に植え替えます。鉢は同じ大きさの鉢か少し小さめの鉢に植え替えましょう。

 ≪根詰まりの場合≫ 
 鉢の表面に根が盛り上がったり、花付きが悪くなります。
 生育旺盛なので、大きく育てられるなら二回り程大きい鉢を用意し植替えます。
 植替えの際、根鉢は崩して新しい用土で植え替えます。

【増やし方】
 挿し芽で増やします。
 春と秋に、切った枝を挿します。先端を使う天芽挿しと茎(管)挿しとがあります。用土は赤玉土を使用します。梅雨時期に挿し芽を行うと腐りやすいので、挿し穂をとったら1~2日放置し切り口を乾かすか、乾いた用土に挿して、数日後に水を与えると良いでしょう。
 増やすのは容易にできます。是非お試しください♪


 次は茎が下垂するゼラニュームの仲間です。

アイビーゼラニューム

画像の説明

学名:Pelargonium ivy-leaved Group
フウロソウ科テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)
原産地:南アフリカ・ケープ地方
常緑性花、多年草
和名:ツタバゼラニューム
開花時期:4月~7月上旬 9月中旬~11月
草丈:20cm~100cm程度
花色:白、赤、ピンク、紫、複色

 つる状に伸びる茎と葉の姿が西洋ツタの「アイビー」に似ているところからアイビーゼラニュームと呼ばれています。茎は長く這うように伸び、葉は革質で光沢があります。

画像の説明

 ヨーロッパでは、窓辺のフラワーボックスでよく見かけます。
 ゼラニューム同様四季咲きの性質があります。
 茎が垂れ下がるので、ハンギングバスケットや吊り鉢、大きな花鉢仕立てにも向いています。

 九州では、真夏の高温多湿の影響で葉が枯れこみ弱りやすいように思いますが、梅雨明け後、本格的な夏が来る前に切り戻しを行い、秋から開花させるように育てるとよいでしょう。
 育て方はゼラニューム同様です。
 ヨーロッパではウィンドウガーデン(窓枠のしたにコンテナが付いている)やフラワーボックスが一般的です(写真参照)。高層のアパートでも当たり前の光景です。見た目は絵になるし素敵なのですが、このような場所を通過する際、どうぞ上を気にして通行してください。日本とは異なり、下を誰が通ろうと気にせず水やりをしています。この状況が普通なのでしょうね。
 遭遇した場合は「お気をつけあそばせ!」



 次はハーブの仲間のゼラニュームです。

センテッドゼラニューム

画像の説明

学名:Pelargonium Scented-leaved Group
フウロソウ科テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)
原産地:南アフリカ
常緑性草花、多年草(ハーブ)
別名:ニオイゼラニューム、ニオイバゼラニューム
開花時期:4月~7月 
草丈:30~100cm
花色:白、ピンク、赤、紫、複色


画像の説明

 ゼラニュームの仲間で、葉や茎に香りがあるグループです。
 開花時期は4月~7月ですが、一部、四季咲きの品種もあります。花の色や形も様々ですが、花自体には香りが殆どありません。
 代表的なローズゼラニュームの他、レモンやオレンジの柑橘系の香りをもつもの、ジンジャーなどのスパイス系の香り、青リンゴやイチゴの香りなどフルーツ系もあります。
 ヨーロッパでは古くから香料として盛んに栽培されています。身近ではあまりポピュラーではありませんが、ハーブを取り扱っている園芸店であれば多くの品種があると思います。
 春から開花しますが、一般的なゼラニュームのように華やかな開花ではなく、花の一つ一つが小ぶりで控えめです。
 葉は深い切れ込みのあるタイプや丸葉で細かい鋸歯があるタイプなど品種によって異なります。
 耐寒性は強い方で、九州では戸外でも越冬可能です。地植えの場合、低温が続くような場所のものは掘りあげて鉢に移し冬越しをさせます。
 育て方は前述のゼラニュームと同様です。
 寒さより梅雨時期の高温多湿が苦手です。春から開花し、梅雨時期になると花も少なくなってきます。この時期に切り戻しを行います。
 タイミングは梅雨入りと同時に草丈を半分程度にします。風通しを良くして夏を越し、秋になり再び姿が崩れてきたら切り戻して整えましょう。切った茎は挿し芽で増やしてくださいね。
 ハーブなので収穫は春から秋まで随時可能です。
 乾燥させて保存も可能です。葉や茎の色は黄色っぽくなります。緑の色を活かす場合は生で利用します。
 その他の利用として、「虫よけ」効果もあります。センテッドゼラニュームの香り成分の中に「シトロネラ」という香りがあります。この香りには「蚊」が寄り付きにくいそうです。
 「葉を触って香りをたたせながら」の外作業は効果的かも知れませんね。虫よけ&素敵な香りで気持ちも落ち着きそうです。
 好きな香りの品種を選んで育ててみると楽しいものです。
 葉からの香りはイライラを緩和し、蚊を追い払い、寝不足解消にも効果があるとか~ 
 一度試してみてくださいね。

 秋口に植え替えた草花が今元気に開花しているのではありませんか?
 この時期、気温が下がり始め開花から散るまでの時間も長くなり、花色も本来の色が楽しめます。
 折角なのでしばらくは楽しんでください。
 ただし、急激に寒くなってきます。タイミングを見計らって植替えをしましょうね。              

(19/11/01掲載) 

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