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花のコーナー

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御園 和穂##

2020年05月 クチナシと夏の草花

 ツツジが満開を迎え、暦の上では立夏を迎えると「夏」が始まります。
 時期来る「梅雨」が過ぎれば本格的な夏ですね。
 樹木の芽吹きは美しく、日中は汗ばみますが一年を通して一番爽やかな時候です。
 春から夏の花壇への植替えも終わり一段落ですね。

 今回は、梅雨に入ると咲き始めるクチナシと夏の草花を紹介します。



クチナシバックナンバー 2013年6月にも掲載)

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学名:Gardenia jasminoides
アカネ科クチナシ属 常緑低木(花木)
原産地:東海地方以西、四国、九州、沖縄、台湾、中国、インドシナ
漢字名:梔子
漢方名:山梔子(サンシシ:シャンチーツ)
英名:common gardenia(ガーデニア)、cape jasmine

 梅雨に入る頃から開花し始め、真っ白な大輪の花には強い芳香があります。
 クチナシの香りは三大香木の一つです。「春のジンチョウゲ、夏のクチナシ、秋のキンモクセイ」と、夏の香り花の代表に挙げられています。

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 香りはジャスミンに似た香りで、その香りにはリラックス効果があるそうです。また、クチナシの果実も染色用や漢方薬として古くから利用されています。
 料理にも使われ、天然色素としてお節の栗金団やたくあん、ゼリーなどの黄色い色はクチナシの果実から色を付けています。
 薬用として利用する場合は果実を水で煮だします。漢方では消炎や利尿、鎮静などに効果がありますが、妊婦さんや胃腸が冷えやすい方への処方は避けられています。
 染料として利用する場合は、乾燥果実の粉末は奈良時代から使われていて、平安時代には十二単などの衣装を染めていたそうです。支子色(クチナシイロ)と言われ、「少し赤味のある黄色」です。

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 「クチナシ」の名前の由来は、秋に実る果実は裂けないことから「口無し」が転じた説や、萼(がく)が鳥のくちばしで果実を梨に見立て「口梨」などの説もあります。

 クチナシは1750年代に中国からイギリスに渡ったのが初めで、当初はケープ・ジャスミンと呼ばれていたようです。ケープは南アフリカのケープタウンで、当初ケープタウンが原産地だと思われていたようです。
 1800年に入るとヤエクチナシが登場し、学名の「ガーデニア」の呼び名で親しまれるようになったそうです。
 アメリカではダンスの誘いにガーデニア(クチナシ)の花束を準備したり、愛を育む力があるとされ、夫婦の寝室に飾ることもありました。

 クチナシの花は6月から7月に開花します。葉には光沢があり葉脈がハッキリしています。通常の花は一重で6枚の花弁から成り立ち、花弁は萼の部分でつながっています。雌しべの先端が花弁より外へ突き出しているのが特徴です。
 蕾はねじれたようにたたまれており、ゆっくりと開いていきます。
 現在は一重より八重咲きが好まれ、バラのような花を咲かせるタイプが人気です。

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 10月から12月にかけて出来る実はオレンジ色で萼が6本突き出た形で残ります。この実を乾燥させ、煮だして染料などに使用します。
 樹高は0.5m~2m程です。太い幹をもってという花木ではなく常緑低木の範疇です。

 品種も多く、一般的に庭木として好まれるのは大輪で八重のオオヤエクチナシです。その他では小輪で八重のヒメクチナシや全体が小さいコクチナシなど立性タイプから匍匐タイプなど様々です。
 樹形は、剪定を施さなくても自然でもまとまりやすく、花後に飛び出した枝や軽く全体を切る程度にすると良いでしょう。また、新芽が伸び始めると来年の花芽分化が始まるので、剪定は花後に出来るだけ早く行い、時期を逃したら次の年に行うことをお勧めします。
 花後に「実がなる」ことを期待するかもしれませんが、実が欲しい場合は、一重咲きのクチナシを育てましょう。八重咲きのタイプは残念ながら実を付けません。
 花は夕方から白い花を咲かせ、湿度のある夜に強い香りを放ちます。朝になると花はクリーム色になり、その後茶色になって終わります。もちろん香りは夜だけでなく昼間も香ります。

【育て方】

■日の当たる風通しの良い場所で、湿り気のある腐植質の多い土壌を好みます。庭植え、鉢植えともに水を切らさないようにします。

■剪定は、花後に出来るだけ早く行いましょう。

■肥料は、花後と冬場に少し与えます。肥料が多いと花が咲きにくくなります。

■増やし方は挿し木です。6~7月に伸びた当年枝の充実した枝を挿します。さし穂は数時間水に浸けておいて、その後赤玉土などに挿します。
その際、八重の花なのか、一重の花なのかを確認しておきましょうね。

 「実」はスーパーや百貨店の香辛料コーナーに行くと販売されています。
 「実をあきらめて華やかな白い花と香りを楽しむ」か「実も楽しむためシンプルな一重の白い花と香りを楽しむ」か、はあなた次第ですね。

 少し余談。
 クチナシの花が咲く頃、青梅が少し黄色くなってきます。青梅を取り損ねていたらいつの間にか・・・。こんな移ろいを表現して「梅子黄」(うめのみきばむ)という言葉があります。色づき始めたら梅を早めに収穫して、ウメジャムやジュースにしてみては如何でしょう。この時期ならではのものですね。
 雨降りの庭に「白い花とほのかな香り」、なんと趣のある風景でしょう。
 花が終わって、梅雨が明けると夏本番です。

 次は同じ夏の時期に開花する草花です。



ツユクサ

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学名:Commelina communis L.
ツユクサ科ツユクサ属 一年草
原産地:日本全土、東アジア、アメリカ北東部
別名:蛍草、青花、帽子花、鴨跖草(オウセキソウ)
英名:Asistic dayflower
漢字名:露草

 花は夜明けから咲き始め、昼過ぎにはしぼむ一日花です。
 可憐な花ですが、旺盛な繁殖力を持っていて、畑の隅や、道端、低木植え込みの中など、どこでも見かける草花です。草花と言うよりかは雑草と思われる方の方が多いかも知れませんね。

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 苞の間から数個の花を咲かせ、花色は青。稀に変異の白色もあります。
 花弁は3枚で、上部に青い大きな2枚と下部に白い小さな1枚の花弁があります。
 草丈は15cm~30cm程で、茎は直立せず地を這うように伸びながら、茎の一部が地に着くとその部分から根を下ろし凄まじい勢いで繁殖していきます。
 花の時期は6月から9月で、その後枯れてしまいます。

 ツユクサの葉や茎は薬草として、リウマチや利尿に薬効があり煎じ薬として使われていました。また、新芽は野菜としてサラダや茹でて和え物として食べられます。

 また、万葉集にこのような詩があります。

 『つきくさに衣色どり摺(ス)らめども 移ろふ色というが苦しさ』

 訳:【ツユクサの色を衣に摺りこみたいけれど、その色はすぐに消えてしまうのでどうしたらよいか苦しんでいる】 つきくさ=ツユクサ

 万葉の時代、ツユクサの花の絞り汁で布を染めると布に色がつきやすく容易に染めることができたそうですが、褪色もしやすかったそうです。
 そこで、褪色をいかし京友禅染めの下絵用の※青花紙として使用されました。
 下絵をツユクサの花の絞り汁で描き、本染のあと水洗いをすると消えてしまいます。

※青花紙:ツユクサの花の絞り汁を和紙に染み込ませ乾燥させ保存。使用時に和紙を水に溶かし、溶け出した青い色汁で友禅の下絵を描いていた。

 友禅染めの下絵は、ツユクサでも描かれたようですが、オオボウシバナというツユクサの変種を利用しています。

オオボウシバナ

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学名:Commelina communis L.var.hortensis Makino
ツユクサ科ツユクサ属 一年草
和名:オオボウシバナ(大帽子花)
ツユクサの変種

 ツユクサと同種で花が大きいのが特徴で、1つの花が4~5cm程あり花弁が縮れています。
 滋賀県草津市で江戸時代中期から栽培されたそうです。草津市の花でもあります。
 ツユクサ同様、開花期間は6月~9月で朝方から開花し10時くらいには萎んでしまうため、夏の間は時間に追われる作業だったようです。 
 花弁を摘み取って絞り、その液を和紙に刷毛で塗っては天日干しし、この作業を和紙の重さが4倍以上になるまで繰り返し行い、青花紙というより「黒い紙」になるまで染み込ませていたそうです。

 現在は、化学合成した「青色」が用いられ、青花紙の使用は殆んどなく、伝統の保護と観賞用として栽培されているそうですよ。
 野原に咲いている草花も様々な用途で利用されています。
 夏休みの実験や自由研究でも活躍できそうです。色水を作ったりして遊んでみては如何でしょう。
 食用としての摘み草は~出来るだけ街中のツユクサは避けて場所を選んで採取してくださいね。飢餓の時代が来たときは「食べられる草」で覚えておきましょう。

 次は、ツユクサに似ている植物です。

ムラサキツユクサ

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学名:Tradescantia ohiensis
ツユクサ科ツユクサ属(トラディズカンチア属)
多年草
原産地:北アメリカ
和名:ムラサキツユクサ(紫露草)
別名:オオムラサキツユクサ 

 日本へは明治の始め頃、北米より渡来しました。
 当初は観賞用の庭草として栽培されていましたが、現在では野生化して庭草の趣ではなく雑草として見かけることが通常です。

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 花は一日花ですが次から次へと蕾が膨らみ、春から夏まで長い間咲き続けます。
 名前の由来はツユクサに似た紫色の花を付けるので「ムラサキツユクサ」です。
 草丈は30~90cm程度。うっとおしい梅雨時期に涼やかなイメージを与えてくれます。
 3cmほどの花弁が3枚、中央の黄色い雄蕊と雌蕊が印象的で、雄蕊には紫色の毛がびっしりと生えています。
 私は学生のころ、生物実験でムラサキツユクサの葉の表皮の薄皮を一枚剥ぎ、気孔や毛を観察、孔辺細胞に葉緑体が含まれることを確認したことがあります。
 タマネギの鱗茎葉で実験された方も多いかもしれませんね。

 日当たりのよい、やや湿り気のある場所を好みます。
 花壇や鉢植えには向いていない草花だと思います。自然の庭の片隅に植わっているような雰囲気でしょうか。野趣が強いので使い方はよく考えてみてくださいね。
 現在では園芸品種も多く、白い花を付ける「オスプレイ」や葉が黄色っぽくなる「スイート・ケイト」などがあります。

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 また、ムラサキツユクサの近縁種に当たる「ムラサキゴテン(パープルハート)」は皆さんも目にすることが多いのではないでしょうか。(写真参照)
 観葉植物として、以前は「セトクレアセス」と呼ばれていました。
 メキシコ東部の沿岸地域の原産で、メキシコ固有の植物ですが、なぜか現地では栽培はされていません。
 こちらも強健で暑さ、寒さにも強く、用途に合わせて取り入れていかれると楽しいですね。
 ムラサキツユクサを育てるとしても特に手間はかかりません。

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 地植えならほぼ放任で育ちます。あえて挙げるなら日当たりの良い場所を好みます。
 一度花が咲き終わったら、草丈も伸びてまとまりが付かなくなります。思いきって短く刈り込みます。再度茎を伸ばし開花します。こぼれ種でも増えますが、株分けをお勧めします。春と秋が適期です。掘り上げて株を分け、不要な株は取り除きバランスよく植替えましょう。

 全体が咲き終わったら地際から切り取ります。地上部がなくなっても再度芽吹きますので心配無用です。冬の間も葉が茂ることがあるので、伸びすぎたら適宜刈り込みましょう。
 肥料も水も必要ありません。
 鉢植えの場合は毎年植替えましょう。土の表面が乾いたら適宜水を与えましょう。



 世界中で広がったコロナウイルスは今だ衰えず猛威を振るっています。
 イベントや講座が中止や延期になり、皆さんの活動にも歯止めがかかっているのではないでしょうか。
 3密を避けて出来るだけ人との接触をしないことが、感染の予防との事。今は我慢をして過ごさないといけませんね。こんな時です。郊外の園芸店に行ってお気に入りの草花を手にしてみませんか?
 不要不急の外出なので、手放しに「行きましょう!」とは言えませんが、3密にならないよう他の人とは距離を保ち、マスクを着用し、手短に済ませれば~いかがでしょう。

 一日家の中ではストレスが溜まってしまいます。
 植物は何も言いませんが、癒しになるのではないでしょうか?
 また、野山の散策も良い時期です。軽くウォーキングを兼ねて散策もおすすめですよ。
 私も、人と接触が出来ない事がこんなにもつらくて淋しいとは思いませんでした。皆さんも、楽しく過ごせる方法を探してみませんか!

画像の説明

 こちらのベランダのアマリリスです。
 購入時に開花してから3年目でやっと蕾が~
 球根植物(すべてではありませんよ)は辛抱の植物なのだと!改めて感じています。
 管理の方法もまずかったのかもしれません。もう一度勉強し直しです。この後は、来年も開花できるよう頑張ってみたいと思っています。
 花が咲くのを楽しみにしています♪

 
 最後に、コロナウイルスが一日でも早く終息することを祈っています。
 

(2020/05/01掲載) 

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