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花のコーナー

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御園 和穂##

2018年09月 コキア

 7月、8月と大雨や迷走台風の影響で多くの重大な被害が発生し、梅雨明けと同時に連日の猛暑。年々気温が少しずつ高くなってきているようです。
 以前は天気予報の注意喚起で、本日は「夏日」(25℃以上の日)、「真夏日」(30℃以上の日)と発表されると「今日も暑いから覚悟しないと!」と思っていましたが、最近では「猛暑日」(35℃以上の日)が当たり前。
 地域によっては40℃を超える所も出てきました。現在「記録的な気温」という表現をしていますが、その内40℃を超えるのが当たり前になると新たな「呼び名」が出来るかもしれませんね。
 今年の夏は例年になく暑い夏です。まだ残暑が続きますが、暑さを好んで良く育った草花、暑さや日射の強さで枯れた草花もあったと思います。そのことを是非とも記録に取っておきましょう。今後、今以上に気温が高くなれば、少しずつ育てる草花も変えていかなければならないかも知れませんからね。

 今回は夏の暑さにも元気に育っている「コキア」を紹介します。



コキア

画像の説明

学名:Bassis scoparia(Kochia scoparia)
ヒユ科 ホウキギ属(バッシア属)、春まきの一年草
原産地:西アジア、中央アジア
和名:ホウキギ
別名:ホウキグサ、イソホウキ、サマーサイプレス、
バーニングブッシュ
草丈:50~150cm 
開花期:8月下旬~(目立たない)


画像の説明

 樹木の低木類に見間違われることがあるようですが、春まきの一年草、草花です。
 草姿は円錐形の整った形で、剪定などは必要ありません。
 観賞期間が長く、花は咲きますがとても小さく目立ちません。生育しながら大きくなる美しい緑色の姿形と、その後秋口からの紅葉、紅葉後、少しずつ赤身が抜けて黄金色っぽくなるまで観賞を楽しむことが出来ます(※光り輝く黄金色ではありません)。


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 繁殖方法は、苗の購入もできますが、春先に種を蒔きます。外気温が15℃を超えてきたら適期になります。北九州市あたりであれば4月上旬くらいでしょうか。
 コキアは浅根、直根性で、植替え時に根を傷めてしまうと、この後の生育に影響を及ぼしてしまいます。
 播種の際は、直蒔きもしくはプランターや鉢で間引きながら育てるか、黒ポットに播種し、植付け時にポット内の根鉢を崩さないよう植付ける方法があります。
 植付けをする際は、日当たり、水はけの良い場所を選びます。土壌がやせていても良く育ち、肥沃な土壌の場合は、徒長気味で軟弱に育ちます。
 5月から8月にかけて、気温の上昇と同時に日が長くなってくると生育旺盛になります。
 枝は真っ直ぐ伸びて、細かく枝分かれをします。葉も細くたくさん茂ります。
 見た目は柔らかそうな感じですが、実際に触ってみると、枝はしっかりしていて硬いです。
 夏は爽やかなグリーン色です。

 花は8月下旬から咲き始めますが、殆ど目立ちません。
 この後は気温が下がり始めると赤く紅葉し、晩秋には種が熟して株は枯れてしまいます。もともと、浅根で地上部が大きく育つ植物なので、生育上のバランスはよくありません。強い風が吹く場所では支柱材などで固定しておかないと、枯れた時点で根元から折れて、球状のまま風でコロコロと転げ回りながら種を蒔き散らし、こぼれ種から来年発芽することもあります。
 さし芽で増やすことも可能ですが、独特の丸い形になりにくいので、簡単に出来る「播種」がお勧めです。
 地植えの場合の潅水は特別必要ありませんが、よほどの乾燥が続く場合はしっかり与えます。
 鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらタップリ与えましょう。
 肥料は殆ど必要としません。地植えでコキアを大きく育てたい場合は6~7月に化成肥料を与えます。
 鉢植えの場合は、植付け後6~8月まで月1回で置き肥をします。



画像の説明

 育て方もとても簡単です。
 注意点をあげるとすれば、一つの苗が大きく育つことを考慮して、鉢植えの場合は問題ありませんが、花壇で使用する場合は、植付けの間隔をあけてコキアが重なりあわないよう考えて配置をしましょう。
 チャレンジをしてみては如何でしょう。

 コキアは別名、ホウキギやホウキグサと呼ばれています。古くから草ボウキの材料としても親しまれてきました。また、花後につく果実は食用として現在でも栽培加工されています。

 「草ボウキ」のことにも触れてみましょう。

画像の説明

 学名バッシア・スコーパリアの「スコーパリア」は「ほうき状の」という意味です。
 コキアの紅葉が終わり、赤い色が抜け始めたら株ごと引き抜き、そのまま吊るして乾燥させます。
 茶色く乾燥したら、株元から出ている小枝を切り、少しずつ束にしてまとめます。
 小枝の切り口を揃え、ある程度の束になったら縛り、枝先の方は軍手をはめ、櫛のように指先を小枝のなかに入れてすきます。


画像の説明

 枝の長さによって異なりますが、使いやすいように何か所か縛っても構いません。
 こうして出来上がった箒が「草ボウキ」です。
 日常、当たり前に使用している「箒」ですが、当たり前すぎて何も知らないことに気づきました。箒のことを調べてみました。

箒(ほうき)
箒とは:主に清掃(掃除)に使用する道具の一つ。形状は植物の枝や繊維などを束ねたものを棒の先に付けている。その繊維などはブラシまたは大型の筆状や刷毛状を呈しており、床面や庭などの塵やごみを掃く。大きさや材質により種類が異なる。【辞典調べ】

 合わせて、「箒の歴史」も調べてみました。~箒の歴史より~
 箒は、古い時代は掃除道具ではなく、神聖なものとして取り扱われており、箒神(ははきがみ)という産神(うぶがみ:出産に関係のある神様)が宿ると云われていたそうです。
 日本最古の「古事記(712年:奈良時代)」には、「玉箒」、「箒持(ははきもち)」という言葉で表されており、掃除道具ではなく、祭祀用の道具として登場しています。
 歴史の中で、箒に近い形で登場してくるのは、平安時代に宮中で年末の煤(すす)払いをする道具として使われていたものです。その後は、鎌倉時代に禅宗のつながりで、修行の一環として掃き掃除用の箒が紹介されていました。
 室町時代に入ると、「箒売り」という職業が紹介されていました。職業があるということは、一般的に箒が使われていたのでしょう。
 文献の絵図を見る限りでは、「竹箒かな?」は推測できますが、材質等は記載されていませんでした。

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 江戸時代になると棕櫚(しゅろ)箒、竹箒が一般的だったようです。棕櫚箒が一般的だったのは住宅の床材が板張りだったからだと思われます。棕櫚は毛先が柔らかいので板張りには適していたのでしょう。
 その後、武家階級にしか普及していなかった「畳」が一般庶民にも普及しました。畳の普及により、畳を掃くには、目にくい込むような穂先のある箒が必要になり座敷箒ができました。関東で生まれた座敷箒は東箒と呼ばれ、関西では棕櫚箒が好まれ西箒と呼ばれたそうです。

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 明治時代に入り、明治40年ころ海外から「赤シダ箒」が入ってきます。パルミラというインド・スリランカが主な生産地の木の葉柄部分から繊維を取り出し箒にしています。
 当時、棕櫚箒の供給が追い付かず、海外の赤シダ箒に供給を求めた結果、日本の棕櫚箒は衰退する方向に向かったそうです。赤シダ箒は、現在でも土間や庭先用箒として使用されています。
 毛足が割と硬く、手軽で使いやすい箒です。

画像の説明

 戦後、昭和30年以降はプラスチック製の化学繊維箒が作られ、50年代にはインドネシア産の「黒シダ箒」が入ってきます。赤シダ箒に比べると毛足が柔らかいタイプです。
 このように次から次に新しい繊維を使って箒は作られるようになりました。

 近年では、流通の関係から地域性と言うより全国展開にかわり、多くの箒が淘汰されました。また、私たちの住宅事情も大きく変わりました。
 板張りから畳へ、土間からタイルなどに代わったように、箒の需要も掃除機の普及により主役だった箒はわき役になりました。
 現在では、使用環境にあった箒を選んで使用していますが、竹箒のように丸く束ねた物から棕櫚箒やシダ箒のように平べったいタイプにいつ頃から変化したのかはわかりません。
 ほうきの1000年ほどの歴史をさかのぼってみました。
 現在でもコキアのような草ホウキも使用しますが、若干、実用性に欠けるかもしれません。庭の飾り物やインテリアの一部として飾っても良いかもしれません。
 箒の長い歴史の中で、祭祀用として宗教的な意味合いであったり、家の中、外を清掃する道具に代わり箒は変化してきました。移り変わりの中でも、清掃しやすい道具として「いつも綺麗にしておく」という考え方は昔も今も変わっていないようですね。


 箒の最後に。海外の箒も少しご紹介しましょう。

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 西洋、ヨーロッパでは古来よりエニシダの枝から作られてきました(写真:エニシダ)。
 形は日本の竹箒とよく似ています。

 ヨーロッパにおいて、箒は「魔女や魔法使い」が乗り物として移動する道具であると信じられていた部分もあります。
 これは物語ですが、みなさんも良くご存じの映画「ハリーポッター」の中でも箒に乗っての競技「クィディッチ用の箒」もその一つです。
 本当に飛べたら、素敵な乗り物ですよね!

 また、ヨーロッパ各地に、セイヨウヤドリギという寄生する灌木植物がいます(日本でも見られます)。
 宿主は落葉樹で、落葉するとセイヨウヤドリギがはっきりとみえるそうです。セイヨウヤドリギは雷除けの効果があるとの伝説があり、地域によってはセイヨウヤドリギで箒を作り、雷箒として親しまれているそうです。~すみません!余談でした。~

 コキアから話が逸れてしまいました。



 最後にコキアの「種」の話をしましょう。

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 先にも述べていますが、繁殖用の種とは別に完熟した種を採取し乾燥させて、水に1日浸け置きし、その後、殻を取り除くように水の中で種を揉みます。
 種の回りの殻が取れた加工品があります。名前は「とんぶり」と言います。
 食品の「とんぶり」は、箒の材料となるコキア(ホウキギ)を栽培していた出羽国(現在の山形県・秋田県あたり)で、飢餓に瀕した民がその果実を食べる事が出来ないかと加工したのが始まりとされています。
 しかしながら、とんぶりの加工方法は民が生み出したのではないようです。古くから使われていたようです。漢方として地膚子(じぶし、じふし)と呼ばれ、利尿・強壮剤として取り扱っていたようです。よって、食品としては積極的に食べられてはいなかったようです。

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 現在では、秋田県の特産品として全国にも知られるようになり、果実のプチプチとした食感と見た目から「畑のキャビア」や「陸の数の子」とも呼ばれています。 
 「とんぶり」の名は、コキア(ホウキギ)が中国から伝わった植物であることと、実がブリの卵に似ていることから「ブリに似た唐から伝わったもの」=「とんぶり」という説が有力です。
 特別な味はなく、プチプチした食感を楽しみます。カロリーは低く、食物繊維を多く含み、栄養素としてビタミンE,Kが多く、たんぱく質やミネラル、その他ビタミンCやヨウ素などを多く含む健康食品で、生活習慣病の予防にも効果があるのだそうです。
 チョウザメのキャビア(世界三大珍味)のような、高カロリーで塩分も高く美味と言われるものではありませんが、食感はほぼ同じようなので、ヘルシーかつ安価で「キャビア風」を楽しめますね。
 サラダやカルパッチョなどのトッピングやカナッペ、ご飯にのせておろしや卵と一緒に。パスタや長芋などに和えても良さそうです。実は食べたことがないので、一度食べてみたいと思っています。
 
 今回紹介した「コキア」は様々な用途をもつ植物でした。
 コキアは身近な公園でも見ることが出来ます。9月は残暑厳しい時期ですが、秋の彼岸が過ぎれば、過ごしやすい季節の到来です。軽く色づき始めたコキアを見に行ってみては如何でしょうか!

 本当に暑い夏でした。寝苦しい夜はそろそろお終いですね。
 傷んでしまった草花の手入れはこれからです。枯れた植物を抜き取り、全体に軽く切り戻しを行い、肥料を与えましょう。植物も息を吹き返してきます。
 夏の疲れはこれから出てきます。体調を整えながら、秋の作業を行いましょうね。

(18/09/01掲載) 

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