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花のコーナー

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花のコーナー

御園 和穂##

2020年10月 天高く馬肥ゆる秋

 9月、いくつかの台風に見舞われました。中でも台風10号は「特別警報級」とまで言われました。北九州市では、一夜明けて前日からの強風にも関わらず被害が少なくて一安心でした。
 酷暑が和らぎ、これからは一雨ごとに肌寒く感じられるようになりますね。
 今年はコロナ禍で自粛生活をされた方も多くいらしたと思います。自粛期間中に園芸を始めた方も多かったように思います。中でも「野菜や果物」は人気だったようです。さて、収穫はどうでしたか?
 今回は、これからが収穫期の芋と果物を紹介します。



サツマイモ(野菜:根菜類)

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学名:Ipomoea batatas
ヒルガオ科サツマイモ属
原産地:南アメリカ、ペルー熱帯地方
別名:甘藷、薩摩芋
英名:Sweet poteto



 紀元前から栽培され、大航海時代にコロンブスが南アメリカからヨーロッパに伝え、16世紀には南アメリカにやってきていたスペイン人もしくはポルトガル人により東南アジアに導入。フィリピンから中国を経由し1597年に宮古島へ伝わり、17世紀の初めに琉球、九州、八丈島、本州へと伝わったそうです。
 中国から伝来したので九州では「唐芋」とも呼ばれています。

 サツマイモ栽培は、小学校の授業教材として皆さんも一度は触れたことがあり、馴染みの深い野菜(根菜類)です。

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 サツマイモには花が咲かないわけではありません。花はピンク色でアサガオに似ています。短日植物なのですが反応が鈍く、日本のような温帯地域では殆ど開花することはありません。(花は写真参照)
 ちなみに品種改良をする際には「花」が必要となります。そのため、アサガオなどの近縁種に接ぎ木をし、台木からの植物ホルモンや養分の働きで開花を促進させるそうですよ。

 サツマイモは繁殖力が高く、窒素固定細菌との共生により窒素固定が行えるので痩せた土地でも育ちます。よって初心者でも育てやすい作物の代表選手です。
 江戸時代以降、飢餓対策の救荒作物として広く栽培されました。
 最初に鹿児島に入ってきたサツマイモは、薩摩藩が栽培を進めます。領土の半分以上がシラス台地で「米栽培」に向かない土地だったことからサツマイモ栽培に着手したと言われています。
 その後、日本各地で耕作に不向きな土壌での栽培が可能な作物であったことから農家の力によって広まっていきます。
 現在、国内でのサツマイモ生産は、1位が鹿児島県、2位が茨城県、3位が千葉県です。
 鹿児島県では2月に植付け、5~6月に収穫です。その後、秋から茨城県と千葉県の収穫が始まります。収穫された芋は貯蔵され、翌年の収穫まで少しずつ出荷されるそうです。
 ちなみに世界で収穫されるサツマイモの8割以上が中国で栽培され、ウガンダ、ナイジェリア、インドネシア、ベトナムと続きます。
 栽培方法のポイントは、日当たり、水はけのよい場所を選び、5月の連休明け頃から植付けます。
 皆さんもご存知のようにサツマイモは「塊根」で、養分を蓄え肥大した根がイモになります。

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 挿し穂は葉と葉の間隔が短く、かっちりしたものを選びましょう。土中に埋めた節からでた根が芋になります。(写真:挿し穂)
 植付け後1週間程で発根してきます。その間雨が降らず乾燥するようなら水を与えましょう。
 肥料は、特に必要としません。どうしても与える場合は「リン酸分の高い肥料」もしくは「芋用の肥料」がありますので少量与えます。

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 肥料は与えすぎると~つるが良く伸びて「つるぼけ」になるので気を付けておきましょう。
※つるボケとは:葉や茎が成長し実が育たない状態のこと。

 繁茂しすぎた場合、出来るだけ葉や茎は切らずに、伸びすぎたつるは「つる返し」をして対処します。サツマイモは葉からの光合成でデンプン質がイモに蓄えられ大きく成長する植物です。
 「つる返し」とは、通路などに伸びたつるを引っ張って畝の上にひっくり返す作業です。ついでに雑草も取っておくといいですね。

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 真夏の間、特別乾燥しない以上は水も必要ないし、つるが伸びすぎていなければつる返しの作業も必要としません。ただし、雑草が酷い場合は抜いておくと良いでしょう。
 順調に育ち、9月以降は「収穫」が気になります。
 マルチ栽培をしている畑は9月下旬くらいから、マルチのない場合は10月下旬から11月上旬ごろが一般的な収穫時期になります。

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 サツマイモは植付けから110日から150日で収穫と言われます。地域によっても異なりますが、ざっと計算して目安を決めておくと良いですね。また、葉が少し黄色くなったり赤っぽくなってきたら「堀上げ」サインでもあります。分からなければ、試し掘りしてみるのが一番かもしれません。
 掘り上げる際は、地上部のつるを切り、周辺にスコップを差し込みます。土が柔らかくなるので、つるを手繰るようにして掘り上げます。掘り上げたイモはそのまま半日ほど天日にさらします。

 収穫後は土が付いたまま(大きな塊は取り除いて)新聞紙などに包んで風通しの良い場所で保存します。洗わないのは、サツマイモは水分が苦手で水気のある部分から傷んでしまうからです。
 また、収穫してすぐに食べても美味しいのですが、デンプン質の多いサツマイモやカボチャは、2~3週間置いた方が、デンプンが糖分に変化して甘くなります。保存は出来ますが出来るだけ早く食べるようにしましょう。使用して余ったサツマイモはラップをして冷蔵庫で保管し、早めに召し上がってください。基本寒さは苦手です(保存適温は10~15℃くらい)。

 サツマイモには食物繊維が多く、ビタミンC・E、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルも比較的多く含まれています。美容効果は「大」ですが、食べすぎには要注意ですよ!
 サツマイモには、ホクホクして甘味の強いタイプや甘くネットリしたタイプ、さらりとした甘味でホクホク、と種類も豊富です。
 お好みの品種を見つけて、来年の春は種イモを準備して作ってみるのも楽しいですね。



 次は「クリ」を紹介します。
 江戸時代に導入されたサツマイモは「八里半」と呼ばれ、「焼芋」として売られていたようです。「八里半」とは、栗(くり=九里)に食味が似ているということから名付けられたそうです。
 秋の味覚で「クリ」も外せない一つですね。


クリ(果物:堅果)

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学名:Castanea crenata
ブナ科クリ属 落葉高木
原産地:日本、中国、地中海沿岸地方
英名:Japanese Chestnut

 クリの実は縄文時代から食料であり、建築材や家具材として幹や枝は重宝されました。
 日本で栽培されているクリは、自生している柴栗(シバグリ)や山栗(ヤマグリ)と呼ばれる種類のものです。シバグリを品種改良したたものがニホングリ(和栗)と呼ばれ、有名な「丹波栗」は大粒の栽培品種の総称になります。

 落葉高木で樹高は15m、直径は80㎝を超える大木になります。幹肌は暗灰褐色で、老木になると樹皮には縦長に深い溝が出来ます。

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 葉は細長く、緑が濃く艶があり、葉裏はやや色が薄く細かい毛で覆われています。
 雌雄同株、雌雄異花で5月下旬から6月に開花します。
 花序は細長くひも状で、立ち上がりながら伸び、先端が垂れた姿になります。花序は先から雄花が付き、その根元に2、3個の雌花が付きます。自家受粉はしません。
 雄花は独特で、青臭い生臭さをもっています。本来、ブナ科の植物は風媒花で地味な花が多いのですが、クリは虫媒花で雄花が異臭を放ち、ハエやハチの仲間を呼び寄せ花粉を運ばせ受粉します。
 
 9月から10月になると、実が茶色に熟してきます。熟すとイガ付きの殻が割れて中から堅い実が出てきます。通常、ブナ科の植物の実は「ドングリ」と呼ばれますが、クリはまとめて「クリの実」と呼ばれては区別されています。これはイガの中の実は種子ではなく果実になるわけですね。
 年平均気温10~14℃前後で、最低気温が-20℃を下回らない地域であれば生育は可能です。生産量は茨城県、熊本県、愛媛県の順番です。

 丹波地方(京都、大阪、兵庫)や長野県小布施で栽培される大粒のクリは「丹波栗」としてブランド化されています。
 ここ数年、「栗蜜」として見直されています。栗の蜜は色が黒く、味も劣ることから需要は少なかったようですが、栗蜜には鉄分やミネラルが多く含まれ、独特な味も個性的な味と評され、イタリア産の栗蜜が人気なんだそうですよ。
 一般的に売られているクリは「ニホングリ」、赤い袋に入っている天津甘栗は「チョウゴククリ」、マロングラッセなどは「ヨーロッパグリ」を使用しています。用途に合わせて使い分けられています。
 先日、マーケットで「むき栗」が販売されていました。クリの表面が傷つき、商品価値が劣ってしまったものの殻と渋皮をむいたものです。
 季節を感じながら「栗ご飯」に変身です。

 自宅で「クリの木」を育てている方は少ないと思いますが、「育てよう!」と思われるなら、これからが植付け適期になります。
 ジバグリの実生台木に50cmほどの高さで高接ぎした苗木が出回ります。受粉が必要となりますので2品種以上を植え付けるようにしましょう。
 クリを購入する際は、クリは固い果皮に包まれていますが、長い保存は出来ません。時間が経つと水分が飛んで実が縮んでしまいます。購入後は早めに食べましょう。
 保存する場合は乾燥しないようポリ袋にいれ冷蔵庫へ入れます。さらにチルド室があればお勧めです。クリは低温にあうとデンプンが糖に変わり甘味が増します。 
 風味は落ちますが、冷凍保存も可能です。よく洗ってから水気を取り袋に入れて冷凍します。食べる際はそのまま茹でて食べます。むきクリは灰汁抜きしてから水に浸けて冷蔵で3日ほど。冷凍する場合はかたゆでしてから保存しましょう。

 クリは炭水化物を豊富に含む、高カロリー食品です。糖の代謝を助けるビタミンB1・B2、ナイアシンを含むので効率よくエネルギー補給が出来ます。
 食物繊維も豊富でビタミンCは風予防や美容にも効果があります。
 ただし、栄養価に優れていますが、カロリーも高いので「食べすぎ」には気を付けましょう。

 いつでも食べられるクリですが、今が「旬」です。
 旬のものは栄養価も高く、味も濃く、何より美味しいです。また免疫力が上がったり、抗菌力や丈夫な体つくりにも役立ちます。
 様々な食べ方で楽しんでみませんか。

 最後に、秋天高く~秋の野山に朱色の実が映えます。秋を代表する果実の柿です。



カキ(果実)

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学名:Diospyros kaki Thunb.
カキノキ科カキノキ属 落葉高木
原産地:中国揚子江流域
英名:kaki Persmmon
和名:柿の木

 中国では、柿を果樹として古くから利用し、紀元前2世紀ころから栽培していたそうです。
 日本では古事記に記載があるようですが、実際は奈良時代以降に中国から渡来したと考えられています。

 柿は渡来後野生化し、現在は「ヤマガキ」が野山に自生しています。
 品種改良や栽培は日本を中心に行われ、明治時代後半には本格的な研究が行なわれ、栽培品種として渋柿、甘柿と多くの品種が誕生しました。
 甘柿は日本特産で、次郎柿や富有柿などが有名です。また、渋柿は干柿として市田柿や蜂屋などが知られています。世界でも渋柿を甘くして食べるための栽培をしているのは日本くらいだと言われています。
 柿は世界に誇れる「日本の果物」と言っても過言ではないようですね。

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 樹木は落葉の小高木で高さは4~10mほどで、樹皮は灰褐色で、表皮は網目状に裂けます。また、枝は折れやすく剪定時には注意が必要です。
 花は初夏に開花します。花弁は白から淡い黄色で4枚です。目立たないので柿の花を知らない方は多いかもしれませんね。(写真:柿の花参照)
 柿は雌雄同株なので1本で実がなります。花後、実は少しずつ膨らんで9月~12月にかけて橙色に熟します。
 形は品種によって異なりますが、花を覆うように緑色部分の萼が「ヘタ」と呼ばれ最後まで残ります。

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 柿の果実の収穫量は年によって差があり、樹を叩いたり、傷つけたりすると花芽形成が促進すると言われており、柿農家では環状剥皮などを行っているそうです。
 豊富なビタミンCとカロテンが健康な肌や風邪に負けない体つくりを応援します。食物繊維、カリウムも多く、「柿が赤いと医者は青くなる」と言われるほどの健康果実のようです。合わせて、タンニンはアルコール分解作用があるので、二日酔い解消にも効果があるそうですよ。

 甘柿は生を剥いて食べても、総菜としても大根と和えた「なます」も美味しいです。剥いた皮は干しておいて、ほんのり甘さが欲しい時の砂糖代わりにもなります。
 渋柿はつるし柿などの加工品として楽しめます。また、ヘタを煮詰めた煎じ汁をしもやけ予防に手足の血行の悪いところへ塗ると良いそうですよ。

 家庭果樹で一番人気は「カキ」だと思います。これからの時期が植付け適期になります。
 もしも育てるなら知っておきましょう。
 柿の木には甘柿と渋柿があります。甘柿は完全甘柿と不完全甘柿があり、完全甘柿は種の有無にかかわらず甘いですが、不完全甘柿は果実の中に種ができないと甘くなりません。
 ちなみに完全甘柿は、「富有」「早生次郎」「太秋」「新秋」「甘百目」等の品種です。そのまま甘い柿が食べられます。
 後は、代表的な渋柿としては「蜂屋」があります。細長い柿で熟し柿、干し柿、さわし柿に適している品種もあります。
 まずは食べてみて好みを探してみてください。それから、苗木を選んで育ててください。『桃栗三年柿八年』とちょっと時間がかかってしまいますが(笑)

 ほんの一部ですが、「旬」の季節の野菜と果樹を紹介しました。
 これだけでも「肥ゆる秋」は目の前にやってきているようです。控えめに様々な「旬」を頂きたいと思います♪

 今年は春先からの自粛生活が続き、さらに厳しい暑さの夏でもありました。
 花壇の草花は夏の傷みから徐々に回復し、美しく開花しているのではないでしょうか。
 植替えの時期まではもうしばらく時間があります。今の花を楽しみながら冬から来春までの花壇計画をするのも良いですね。
 一年で一番過ごしやすい季節です。夏の疲れを癒してください。

(2020/10/01掲載) 

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