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花のコーナー

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花のコーナー

御園 和穂##

2018年07月 この花なーんだ!

 今年は例年よりも早い梅雨入りでした。
 この時期には気温が上がり、蒸し暑さと何とも言えないべとべと感が付きものです。花壇の草花もこの季節が苦手です。しかしながら挿し木した植物などにとっては絶好の発根環境ですね。
 私にとっての梅雨のイメージは「絹糸のような雨が降り続く」なのですが、近年は「集中豪雨」が当たり前になってしまったようです。また、台風の発生も早まっているので、梅雨前線と台風が重なってしまうと「大変な雨風」になってしまいます。今年は大きな被害がでないような雨であってほしいと願っています。
 本来、梅雨の雨は植物・作物にとっては「恵の雨」なんですよ。



 先日、「この花なーんだ」と尋ねられました。

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 3つの内、2つはわかったのですが、1つだけ、すぐにはわかりませんでした。

 今回は「この花なーんだ」を紹介しましょう。

最初の写真-① 答えは「長ネギ」(ねぎ坊主)でした。
学名:Allium fistulosum L. ユリ科の葉菜(ヨウサイ)
長葱 Welsh onion
収穫期:夏植え:12月~2月 春植え:7月~8月
原産地:中国西部、中央アジア  

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 中国では紀元前から栽培されていたという記録があり、日本には奈良時代に渡来したと云われています。古くから「薬味」として利用されており、長ネギと葉ネギに分類されます。

■長ネギ:長ネギの白い部分は、生育途中に葉鞘部に土寄せを行い「軟白」化させます。土の中の軟白部分はビタミンCが豊富です。土の上に出る緑の部分はカロテン、ビタミンC、ミネラルが含まれています。

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 ネギの茎は、軟白された一番下の根から3~5mm程が茎で、そこから上の部分は「葉」だそうです!~実は私も知りませんでした~
 食材として、みそ汁の具やうどんや蕎麦の薬味、焼いたり、煮たり、鍋料理には欠かせない食材です。白い部分から緑の部分まで食べることができます。
 長ネギ:白ネギ、根深ネギ(千住ネギ)、下仁田ネギ、リーキ(ポロネギ)など。


■葉ネギ:葉ネギは小ネギのことで、青ネギの若取りをしたものです。

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 葉鞘の径が5mm程度で、長さが50cm程度のものです。
 福岡県はJA筑前あさくらが福岡県朝倉市で栽培した小ネギを、「博多万能ねぎ」とブランド化し全国に発送しています。
 昭和50年代に空輸による「フライト野菜」として注目を集め一躍有名になりました。その当時、ネギは関東では「白ネギ文化」関西では「青ネギ文化」が当たり前でした。白ネギ文化の関東へ青ネギ(小ネギ)文化を福岡のネギが広めたのです。
 最初は「高級青ネギ」のネーミングで出荷されてそうですが、全く受け入れられず、名前を「博多万能ねぎ」に改名、「生でよし、煮てよし、薬味によし」という三拍子揃ったキャッチフレーズで大うけしたそうです。
 50年代という時代背景もあったかも知れませんが、現在では空輸よりも陸送の方が格安かも知れませんね。
 葉ネギ:九条ネギ、小ネギ(万能ねぎ)など。

 その他では、
・「あさつき」ネギの近種。別名は「糸ネギ」万能ねぎに似ていますが、少し辛みがあるので薬味として使われています。
・「わけぎ」ネギと玉ねぎの交雑。枝分かれして育つので、「分け葱(わけぎ)」の名前がつきました。辛みはありません。
・「芽ネギ」ネギを密植させて、7~8cmで刈り取ったものです。細くて細かくて柔らかく、主に寿司のネタに使われています。

 古くから薬用植物として利用されてきた「ネギ」です。長ネギのような白い部分(葉鞘部)はビタミンCが多く、緑の部分(緑黄色野菜に分類される)は、カロテン、カルシウム、ビタミンK等が豊富です。
 また、独特の香りの成分はアリシンといわれ、ビタミンB1の吸収を助け、血行促進、疲労回復、殺菌などの効果があります。
 保存方法は、土付きのネギならその状態で土に斜めにして埋めて保存します。また表面の薄皮を取り除き、適当な大きさにカットした後、ラップに包んで冷蔵庫(野菜室)で保存。小口切りやみじん切りにしたものを小分けしてラップで包み冷凍保存も可能です。
 風邪気味の時には、熱い味噌汁の中にタップリきざみネギを入れて飲むと、発汗作用によって悪寒や熱を取り除き、頭痛も軽減すると云われています。解毒作用もあるようですね。
 ネギは好き嫌いが多い野菜かもしれませんが、体にとっては良い食べ物のようです。ネギは様々な気候にあった地方独特の野菜です。現在では全国、地域色豊かな様々なネギを食べることが出来るようになりました。是非、いろんな食感を楽しみたいですね。

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 花後の状態。黒っぽく見えるのは「種」です。
専門の先生曰く、「この種を蒔くより、新しい種を使ってください」との事でした。


写真-② 答えは「ニンジン」でした。
学名:Daucus carota subsp.sativus セリ科ニンジン属の根菜(コンサイ)
和名:ニンジン(人参) 
英名:Carrot
美味しく食べれられる時期:4月~7月 11月~12月
原産地:アフガニスタン

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 ニンジンはトルコを経てヨーロッパに伝わった西洋系と中国を経てアジア東方へ伝わった東洋系の2種類に分類されます。
 西洋系は太く短いタイプ、東洋系は細ながいタイプです。ともに古くから薬用、食用として栽培されてきました。
 日本には江戸時代に中国から東洋系が入り、明治時代に入って西洋系が入ってきました。現在流通しているものは殆どが西洋系です。

■東洋系ニンジン:中国で改良されたニンジンで日本に最初に入ってきた系統です。赤色の金時ニンジンが有名です。ニンジン独特の匂いがしますが、甘味が強く煮崩れしません。京ニンジンとも呼ばれて京野菜の一つとして知られています。ただし、栽培が難しく、お正月用料理などで晩秋から冬にかけて出荷されますが、栽培量が少ないため冬の時期以外では中々入手は難しいようです。
 また、沖縄の伝統野菜の一つに島ニンジン(チデークニー)と呼ばれるゴボウのように細長い黄色いニンジンもあります。冬のみ食べられるようです。
 アフガニスタン原産の黒ニンジンも東洋系です。

■西洋系ニンジン:オランダやフランスで改良され、日本へは明治時代に入ってきました。主にオレンジ色で、五寸ニンジンと呼ばれる長さ15cm~20cm程度のものが一般的です。
 東洋系とは対照的にニンジンの独特な匂いは少なく、季節に応じた品種もあり、一年中食べることが出来ます。
 本来、ニンジンの旬は9月頃から12月頃です。

 ニンジンはカロテンが豊富な野菜で、免疫力を高め、皮膚や粘膜を強くし、心臓病やガン、動脈硬化に効果があると云われています。その他、カリウム、カルシウムも豊富で、ビタミンCも含まれています。
 カロテンは皮の下あたりにタップリ含まれています。出来れば皮をむかずに食べることがポイントになります。

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 ニンジンは、収穫して出荷される際に綺麗に洗われます。その際に薄皮やひげ根は取り除かれていますので、本来は調理前に洗うだけで調理できます。
 また、葉が付いた状態のニンジンが手に入った場合は、是非、葉も食べてみてください。ビタミンCやカルシウムを多く含んでいます。味はセリのようで、お浸しや天ぷら、炒め物などお勧めです。
 私が幼少のころは「ニンジンが嫌い」という子供が沢山いたと思いますが、現在では「好きな野菜」の上位にランクインしているそうです。
 これは品種改良が進み、独特の香りが減って、甘味が増してクセが無くなったからでしょう。また、ジュースなどの加工品にも使われ、美味しい野菜の一つになったのではないでしょうか。
 保存方法は、使いかけのものはラップに包んで冷蔵庫へ、1本丸ごとの場合はビニール袋に入れて、冷蔵庫野菜室に立てて保存します。
 ニンジンはアスコルビナーゼという、ビタミンCを壊す酵素が入っています。熱を加えたり、酢やレモンなどをかけることで酵素の働きを抑えることが出来ます。サラダや生食の際は酢やレモンの入ったドレッシングなどをかけたり、茹でて温野菜として召し上がってください。

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 最初、ニンジンの花だとわかりませんでした。葉を見て、「セリ科」植物であることはわかったのですが・・・
 レースフラワーかな?と思いもしたのですが、花自体が硬い感じだったので。ニンジンだと知ってびっくりでした。
 花の中に害虫が一匹。アカスジカメムシです。セリ科の花、特にニンジンの花が大好きなんだそうです。
 野菜の先生は、「他の野菜には付かないよね」と言われていました。

写真-③ 答えは「ジャガイモ」でした。
学名:Solanum tuberosum L. ナス科ナス属の根(いも類)
馬鈴薯 英名:Potato 
収穫期:新じゃが 暖地産5~6月、北海道産7月頃
原産地:南米アンデス山脈、ペルー南部のチチカカ湖畔周辺

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 ジャガイモがヨーロッパ大陸に伝えられたのはインカ帝国(15~16世紀)の時代とされています。
 インカ帝国時代の食糧の基本はトウモロコシと考えられていましたが、16世紀に耕耘されていたマチュ・ピチュの段々畑の痕跡や当時の気象や食料の解析などから、インカ人の基本の食糧はジャガイモであったことが示されており、現在見直しが進んでいるようです。しかし、実のところは誰が、どのように運んできたのか、資料は残っていないようです。
 日本へは江戸時代、オランダ人により長崎に持ち込まれたとされています。ジャワ島のジャガタラを経由して伝来したため「ジャガタライモ」と呼ばれ、それが「ジャガイモ」になったとされています。

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 その後、北海道や東北に持ち込まれ、飢餓対策として栽培されたと記録が残っています。本格的な導入は明治維新後、北海道の開拓に使われたようです。
 最初は西洋料理に使われ、洋食の普及に合わせて一般家庭料理で食べられるようになりました。
 ジャガイモの主成分はデンプンですが、ビタミンCやビタミンB1も豊富に含まれています。主食にもなる野菜の一つで世界中で栽培されている作物です。
 一般的な栽培方法は「種芋」を土の中に埋めて生育させます。
 種芋から発芽した芽を適当な大きさに切って、切り口が腐らないように灰などを付けて、切り口を下にして置き、土を被せます。
 その後、芽が地上部に伸び生育していきます。ジャガイモは地下茎が肥大したもので、地下茎は植付けした種芋より上の位置で育つため(地表面あたりに)、ジャガイモを収穫するためには、肥大する地下茎を日に当てないよう土寄せという作業を行いながら生育させます。

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 葉が茂り、沢山の花が咲きます。咲き始めたら花は取り除きます。放置すると結実してトマトのような実ができます。
 春植えのジャガイモであれば6月中旬くらいに葉の7~8割程度が黄色くなってきます。そうしたら収穫しましょう。(時期は品種によってことなります)
 雨上がりなど土が湿っているときに収穫するとジャガイモが腐ったりします。2~3日天候が続き、土が乾いている時が収穫日和です。
 堀ったジャガイモは風通しの良い日陰で干します。表面の土がサラリと取れればOKです。長く干しておくと、表面が乾燥しすぎてしわになったりしますので要注意です。

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 取り除いた花は切り花で楽しんでください。

 最後にジャガイモにはいくつか注意点があります。

1)ジャガイモは、毎年同じ場所には植付けない方がよいです。
 連作障害といって、同じ場所に植付けると土壌のバランスが崩れて、単純に成育が悪くなるだけでなく、病害虫や寄生虫などが発生しやすくなります。これはジャガイモに限らず、ナス科の植物は全てです。(連作障害は他の植物にもあります)

2)ジャガイモに飛び出した芽があれば取り除き、表面の皮が緑色になっていたら要注意です。
 緑色のジャガイモや芽が出てしまっている部分には天然毒素のソラニンやチャコニンという毒素が多く含まれます。
 表面の緑色の部分は厚めに皮をむき、芽の部分はきちんと取り除いて調理をすれば問題ありませんが、処理をせずに食べると、吐き気や下痢、嘔吐、頭痛、めまいなどの症状がでます。
 ジャガイモは生育途中に土寄せの作業をします。実が大きくなる際に土から飛び出さないようにするためと、実が太陽光を浴びると緑色になり、その後の対応が悪いと芽が出てしまいます。自然毒素を出さないよう栽培しなくてはなりません。
 もしもそのようなジャガイモを調理する際は、芽があればその部分を大きく抉って取り除きます。皮が緑色であれば、厚めに皮をむいて緑色の部分を取り除きます。また未熟なジャガイモや食べて苦味のあるものは食べないようにしましょう。
 保存は、収穫後表面を乾燥させ、暗くて涼しい場所で保管します。冷蔵庫の中には入れません。あとは早めに消費してください。

 さあ、3つの植物の名前が判明しました。全部お分かりの方、3つとも分からなかった方もいらっしゃると思います。
 野菜の花は中々見ることがないと思います。収穫が間に合わず「薹(とう)が立つ」といいますが、この状態になると茎が伸びて花を付けます。
 農家においては花を付ける前に作物を取り除き、次の作物栽培の準備に入ってしまうかもしれませんね。スーパーマーケットの野菜売り場でみる野菜類も畑で放置されると「素敵な花?を付ける」ことを知っておいてくださいね。

 これから梅雨も本番です。雨の日が続いて7月の上旬には梅雨明けでしょうか。梅雨明けと同時に夏の到来。
 花壇に植えた草花も一気に花を咲かせ美しい盛りだと思います。梅雨明け前くらいに花柄摘みと合わせて、軽く切り戻しの作業も加えておくと良いですね。
 風通しよくして真夏を迎えましょう。

 毎年お伝えしていますが、近年真夏の暑さは異常です。花壇に植えた花苗の状態は気になるかもしれませんが、管理をされている方の体調管理も大切です。   
 花苗は、もしも枯れてしまった場合でも「植替え」が出来ます。しかし、人間は一度体調を崩すと回復に時間がかかってしまうことがあります。
 決して無理をされず、涼しい時間だけ作業を進める方法や様々な工夫対策のもとで管理をしてほしいと思います。

(18/07/01掲載) 

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