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花のコーナー

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御園 和穂##

2019年09月 おしろい花

 今年も猛烈に暑い夏でした。
 もう暫くは残暑が続きますが、「暑さ寒さも彼岸まで!」あと少しの辛抱ですね。
 9月1日は「防災の日」。雑節のひとつで「二百十日」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。近年は7月ごろから台風が発生、大型で全国各地に被害をもたらしました。改めて「災害を考える」時として過ごしたいですね。
 これからは台風が過ぎるたびに少しずつ涼しくなります。
 真夏を越した花壇の草花やベランダの鉢植え植物は徐々に元気を取り戻してきますよ!
 順次、手入れを始めましょうね。
 
 今回は夏から秋にかけて身近に咲いている草花を紹介します。
 
オシロイバナ

画像の説明

学名:Mirabilis jalapa 
オシロイバナ科オシロイバナ属(ミラビリス属)
一年草及び多年草
原産地:ペルーなど熱帯アメリカ
開花時期:6月から10月
和名:オシロイバナ(白粉花)
英名:marvel of Peru four o’clock flower
別名:フォー・オクロック、夕化粧



 オシロイバナは誰もが一度は目にしたことがあり、皆さんがその名前を知っている草花です。
 最近は野生化して住宅地の空き地や歩道脇でひっそりと、でも大きな株になってたくさんの花を咲かせています。雑草と思われがちですが、実は園芸品種としても流通しているんですよ。
 日本には観賞用として江戸時代(年代は不明でした)に入ってきました。

 茎は枝分かれし灌木のような大きな形に育ちますが木質化せず緑のままで、冬は地上部を枯らし冬越しします。

画像の説明

 花色は濃いピンク、黄、白、絞り模様、中には1本の株で絞りやピンクが入ったものもあります。
品種:ピンクしぼり「微笑み返し」


画像の説明

 オシロイバナの名前は皆さんもご存じのようですが、一般的に親しまれている草花ではないように思います。
 記憶に薄い理由の一つとして、夕方4時くらいから開花し、翌朝もしくは午前中にしぼんでしまう一日花なのです。また、花壇の草花のような扱い方はされないので印象に残らないのかもしれませんね。
 花はロート状で、茎は5cm程、花径は3cm程になります。花弁はなく、付け根の萼(がく)に見える部分は苞(ほう)にあたります。
 花が終わるとロート状の基を残して落ち、苞の上方に種子がつきます。
 黒い種子を割ると、中に粉状の胚乳があります。

 私が小さい頃は、この白い粉を集めて「おしろい」と言って顔に塗って遊んだものです。
 おしろい=オシロイバナの名前の由来です。
 種ができるには受粉が必要です。

画像の説明

 花はロート状で夜間に開花するオシロイバナには、日本では、主として夜行性で口吻(コウフン)の長い「スズメガ類」が吸蜜して、送粉をしてくれます。
 スズメガも様々な種類がいます。オオスカシバ(写真参照)はどこにでも生息していて、蜂と間違われることも多いようです。
 暖地の場合、冬に入る際に地上部は枯らし地下部は根が芋(球根)になりそのまま越冬します。そうして毎年大きな球根になります。

【注意】
 種や地下部の芋(球根)は、窒素化合物の「トリゴネリン」という物質を含んでいます。誤飲すると嘔吐・腹痛、激しい下痢を起こす場合があります。

【育て方】
■日当たりが良ければ場所を選ばす、丈夫で育てやすい植物です。乾燥に強く、空き地などの痩せ地でもよく育ちます。日当たりが悪く湿っている場所では、軟弱な株になり花数が少なくなります。育たない場合もあります。
■水やり、肥料
 庭植えの場合:水やり、施肥はほとんど必要ありません。
 鉢植えの場合:春から秋までの生育期間中、用土が乾いたら水をタップリ与え、施肥は月1回程度、置き肥します。
 どちらの場合も、ひどい乾燥が続くと生育を止めて休眠してしまう場合があります。冬場は乾燥状態で構いません。
■病害虫、用土
 病害虫はほとんど見られません。
 生育にあたっての用土も選びません。
■植替え・植付け
 植替え:放任します。移動させたい場合は種を蒔くか、冬季に球根を堀りあげて移し替えます。
 植付け:種を蒔いてポット苗を作るか、春にはポット苗も流通します。
■増やし方
 種蒔:5~6月に種を蒔き育てます。(黒ポット、プランターなど)発芽、生育は良好です。花壇や露地で育てたい場合は、直播きします。
■整枝、刈り込み
 草丈が伸びてしまった場合は8月~9月が刈り込みの適期です。全体を刈り込み、大きさの調整をします。
 11月~12月になったら地際から切って冬越しです。

 生育、管理等とても簡単な草花ですね♪

 オシロイバナの花色は暗闇でも浮かび上がり美しいです。特に白色、黄色は幻想的です。また、優しい香りも放ってくれます。
 地植えはもちろん、鉢で育ててみるのはいかがでしょう。

 オシロイバナの和名には夕化粧(ユウゲショウ)という名がついています。夕方から開花するので付いた和名です。

画像の説明

 しかし、「夕化粧」という名の植物は他にもあるのでお間違えのないように!
 こちらがアカバナ科のユウゲショウと言われる花です(写真参照)。
 この花も開花は夕方からと言われる植物ですが、現在は昼間も開花しています。花色は白、ピンクなどがあります。
 ユウゲショウの名はオシロイバナの和名で間違いやすいため通常「アカバナユウゲショウ」と呼ばれています(以前、道路脇の植物で紹介しました→「2016年6月 野草か?雑草か?・・・ 」を参照)。
 昔ならではのオシロイバナは奥ゆかしい草花ですね。



次は。

マツヨイグサ

画像の説明

学名:Oenothera stricta
アカバナ科マツヨイグサ属 一年草または多年草
原産地:チリ、アルゼンチン
開花時期:6月~11月
英名:evening primrose
別名:ツキミソウ

 こちらも一度は目にしたことのある植物だと思いますが、「オシロイバナ」のように名前は出てこないかもしれませんね。
 日本へは、江戸時代後半から明治時代初期に園芸種として渡ってきました。
 初夏から晩秋霜がおりる頃まで開花し、その後種を散らして地上部は枯れてしまいます(一部、秋に芽生えてロゼッタ状で冬を越して初夏から開花するものもある)。

画像の説明

 マツヨイグサ属は観賞用や園芸用として導入繁殖されましたが、繁殖力が旺盛で一部は野生化してしまい、現在は14品種が帰化植物に位置づけられています。
 一般的に、平地では河原や砂浜、山地では山火事の後の荒れ地や痩せ地に生育し、人為的な環境の場合は造成地や舗装のない駐車場、休耕田や休畑などに生育しています。ただし、他の植物が生育を始めると姿を消してしまいます。
 ヨイマツグサ属は、花色が黄色以外に白やピンク、赤などがあります。
 黄色い花を付けるタイプを「マツヨイグサ」、白い(薄いピンク)花を付けるタイプを「ツキミソウ」、赤花を付けるタイプを「アカバナユウゲショウ」と呼んで区別しています。
 分類はされていますが、黄色タイプは「ツキミソウ」と呼ばれ、「マツヨイグサ」の名前で呼ばれることは少ないようです。

画像の説明

 実際のツキミソウは写真のものです。
 マツヨイグサ類なので、花は夕方から夜にかけて開花し、朝方に向かって薄いピンク色に変化していきます。一日一花です。
 本来は同じように導入されたマツヨイグサ属ですが、ツキミソウはマツヨイグサより繁殖力が弱く一時期姿を消しました。
 今でもあまり見かけないような気がしますが~。

 マツヨイグサは草丈が30cm~80cm程になり、葉は細長い針のような形をしています。
 花は夕方から咲き始め、朝になると萎んでしまいます。黄色だった花色は黄赤色になって終わります。

画像の説明

 花後には、筒状のさく果が付きます(熟すると鞘が割れて種子を飛ばす)。
 マツヨイグサも花筒が長く、一番奥に蜜があります。 
オシロイバナ同様、夜に開花するタイプなのでスズメガ類によって花粉が媒介されています。
 その後、種がつき自分自身で弾き飛ばし役目を終えます。
 現在では、本来のマツヨイグサとは別にオオマツヨイグサ(園芸種)やメマツヨイグサ(侵入外来種)の勢いが増している話も聞いています。同じ仲間の中でも存続バトルが繰り広げられているようですね。

【育て方】
オシロイバナとほぼ同じです。
■日当たりがよく水はけの良い場所を好み、用土は選びません。
園芸種の場合は定期的に肥料を与えますが、露地で育っている物には必要ありません。また極端な乾燥でもない限りは水も必要ありません(耐乾性あり)。
■種蒔きで増やすのが一般的です。晩春から初夏にかけて播種、もしくは昨年の親株の回りのこぼれ種から発芽したものを間引き、肥料を与えておくと元気に生育します。

 園芸品種で観賞用として栽培されたものはとても人気があるようです。


 今回は2種類の草花を紹介しました。どちらも夕方から開花し翌朝に萎んでしまう性質のものです。
 これらの花は、世の中の環境が目まぐるしく変化する中、少しずつ変化をしながら、本来の姿も維持し繁殖を続けています。
 帰化植物となり繁殖旺盛な自然のものと園芸種として改良が加えられた品種とが同種で混在して生育しているような気がします。
 私たちが生育をさせる際には、取扱いに少し気を使わなければなりませんね。
 熱帯夜に熱風の中で花を眺める気分には到底なれませんが、これからは徐々にしのぎやすくなってきます。
 秋は空気が澄んでいて月が一番美しく見える季節です。
 オシロイバナやマツヨイグサは身近に生息しています。涼しくなってきた夜、月明りをたよりにこれらの草花を眺めてみては如何でしょう!

(19/09/01掲載) 

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